第2話

しかし理系科目はさっぱりだった。中学生頃から、数学は自分にとって難化した。物理や地学もそうだ。パズルを解くようなセンスもなかったし、子供時代からパズルなんか大嫌いだった。

苦手なら徹底的に避けて通るという選択肢もあったはずだが、中学生時分、私は自分の知能指数を知らなかった。この知能指数なら、苦手科目がある、しかも理数系苦手なら仕方ないかもね…と親切にアドバイスしてくれる大人もいなかった。数学がない私学だけ狙うという手もあったはずだが、私は変にストイックな面があった。自分の進学先は国公立以外にはないと最初から決めてしまった。

私のそういう選択には、当時多くの大人が首をひねった。数学・理科が致命的に成績が悪いのだから、そういう理系科目が含まれる学校を受けても、不利になるだけじゃないかと大人たちは言った。普通は大人にそういう言われ方をしたら、気持ちが揺らぐと思うのだが、私の心は一切揺らがなかった。自分の決心が全く揺らがないが、自分の欠点も消えることはなかった。相変わらず答え合わせが嫌いだし、復習も嫌いだった。それでも私学を第一志望にしようとしなかった。あのかたくなさは一体なんだったのだろうと思う。

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