第11話異能力者たち
リンクのパソコンを、覗いてみると、今のこの空間が映し出されていた。
「これは?」
「俺の異能は空間独占。ドッペルゲンガーはここから出ていくことは出来ない。このパソコンで映された空間しか移動することができなくなる。地味だけど…」
リンクは少し恥ずかしそうに言った。
攻撃のルキトと時空を封じるリンク。このバディーでドッペルゲンガー退治をしていると思うと、俺は異世界を見ているようで、胸が熱くなった。
そんな中、突然、バイオリンの音色が微かに聞こえてきた。
「バイオリン?」
「まずい!リンク、外から入らないように…」
「くそ、遅れた…」
リンクはEnterキーを押したが、エラーになった。
ルキトは、ドッペルゲンガーと戦いながらリンクに指示しようとしたが、バイオリンの音色は気付けば室内を鳴らしていた。
「本当は俺の管轄じゃないんだけど、アルフレッドがこれないみたいだから」
面白がって話す青年は、バイオリンの音色に合わせて、ドッペルゲンガーが操られるように狂気的に動き始める。
こいつ、どこかで見たことある顔だ。
「望月怜…」
「嬉しいなあ、俺のこと知ってくれてるんだ?月谷李弥くん」
ストリートでバイオリンを奏でてSNSで拡散されて人気になった、実力派バイオリニスト。
最近はテレビでも歌番組に呼ばれたりしているのをみたことがあった。
そんな彼が…
「でも、今の俺はガダウトのトゥルスだよ」
そう言って、緑の瞳を光らせた。
優勢だったルキトも狂気的に動くドッペルゲンガーの攻撃を交わすのにいっぱいいっぱいになっていた。
「なんで、お前がきたんだよ。くっそー厄介だな」
「みんなが月谷李弥のドッペルゲンガーを欲しがってるからね。幹部の俺たちが直々に創ってあげたのに、壊されたら困るんだよ」
「どうして…、なんで俺なんかを選ぶんだよ。なんにも力なんてないのに」
「キラキラした人材は大きな種になるんだよ」
トゥルスの言葉の意味が分からないまま、気づけば、ルキトが押されていた。
俺はいつのまにか身体が動いていた。
「ルキト、危ない」
何もないただの人間が、異能という力がある人を守ろうなんて、なんて滑稽な判断だったろう。
俺は、ルキトの前にはだかり、ドッペルゲンガーの前に立った。
「李弥!」
「俺は一人で十分なんだ!!」
俺はドッペルゲンガーに抱きついた。
収まれ、俺の中に戻れ!!
そう思いながら、強い衝撃に耐え必至に食い止める。
すると、徐々にドッペルゲンガーは俺の中に入っていく。
「やめろ!李弥、侵食される」
「馬鹿な奴、ただの人間が自分からドッペルゲンガーにくっつくなんて」
不の感情がドッペルゲンガーが入り込むと同時に、流れ込んでくる。
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