第4話あれから二週間

あの日、帰ってからルキトにもらったカードを見てみると、


【ドッペルゲンガーかも?ってお困りのあなた、探偵事務所『ドルガー』へご依頼下さい】


という、胡散臭い名刺が入っていた。


見た目も職業も謎すぎる。


しかも、ドッペルゲンガーって、逸話の話だろ。


そう思って、あの時はなんとも感じなかったんだ。


でも、だんだんとあの日を境に奇怪的な出来事が起こり始めていた。


初めは、更新してないはずのSNS。


「あれ?俺、今から行きますってもう書いたっけ?」


マネージャーの平本さんに相談すると、すぐに、今流行りの乗っ取りされたんじゃないかと言われて、直ぐにIDとパスワードを変えた。


しかし、今度は仕事場でも


「あれ?月谷くんもうここに戻ってきたの?」


仕事場で、俺はちょくちょく不可解な質問を投げかけられた。


「ずっと、ここにいましたが…」


「あれー?月谷くんはやーい」


違う共演者の女優にもそう言われて、これは見間違いではないと感じた。


そして、その2人が俺に会ったという証拠写真をまさか、自分があげることになるなんて…


自宅に帰り、今日の更新をしようとした時、写真選びをしていると、身に覚えのない写真が入り込んでいた。


「なんだこれ?」


楽しそうな自分と、今日話しかけてきたスタッフと共演者の女優との3ショットが自分のフォルダーにはいっていた。


そして、更新してないにも関わらず、突然新着いいねの通知が鳴り響き始めた。


「なんだよ…」


俺は恐る恐る自分のSNSを開いてみると、驚愕した。


知らないあの3ショットと、書いた覚えのないコメントまで、しかも、自分と違和感のない文面で投稿されていた。


「一体、何が起こってるんだよ…」


ドッペルゲンガー…


その言葉が頭に浮かんだ。


でも、まだ確かめたわけじゃない。

そもそも、どうやって確かめるべきか…


その時、あの胡散臭い名刺を思い出した。


もし、これが、本当にドッペルゲンガーだったら、俺は今後どうやって立ち向かえばいいのか分からない。


しかし、あの男のほうが怪しかった。

もしかしたら、あの男のほうが首謀者で、俺を陥れるために近づいた可能性だってある。


なんにせよ、動き出さないと始まらない。

敵の陣地だとしても、乗り込まないとなんの解決も出来ない。


俺は、この名刺に書かれた住所を元にドルガーという事務所へ向かった。


こんなこと、マネージャーに話せば疲れてるとか、気のせいって終わらされてしまう。


けど、あのルキトって男なら、なんとなく真実を知ってそうな気がする。


そんなことを考えながら話していると、事務所に辿り着き、中へ入ろうとすると、ちょうどルキトと知らない誰かが出てきた。


「こら、ルキト!話し終わってないのににげるな!」


知らない誰かと出てきたと思えば、ルキトだけ首根っこを掴まれ、中へ引き戻らされるシーン。


なんとも言えない…


ルキトの隣にいた青年が俺に気付き会釈した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る