第21話 気を取り直して作戦会議
「じゃあ気を取り直して、誰か案あるー?」
「宣伝はもう大丈夫だから、やっぱり新メニューを考えるのが一番だと思います」
「私も唯人に賛成です」
「私も先輩に賛成ですっ!」
全員の賛同により、俺達は新メニューを考えることにした。
「やっぱり大切なのはインパクトだよね。あとSNSでの映えとか」
「なら、季節感のあるメニューがいいかもですね」
「今の季節ならいちごとかさくらんぼが旬かな」
「さくらんぼならチェリーパイとかですかね?」
「うーん、ちょっとありきたりすぎるかな」
案外順調に話が進んでいる。
そんな時、一人の店員が穂乃果さんに声を掛けた。
「オーナー、今ヘルプお願いできますか?」
「そっか、今結構ピークかもね。ごめん、後は若者達で話しといてっ!」
穂乃果さんは俺達にそう告げると、すぐさま店内へと向かった。
「さくらんぼを使うのは決まりとして、重要なのは何を作るかだよ」
「やっぱり、大切なのは今までにない新鮮味だよな‥‥」
その時、由奈が何か閃いたような様子で語り出した。
「チェリーパイの上に、春が旬の果物を乗せるってのはどうですか?」
「でもそれじゃあ予算的に厳しいんじゃないか?」
「ふっふっふー、実は私のお爺ちゃん、さくらんぼの農家なんです。なので先週家に大量のさくらんぼが送られてきて、うちも処理に困ってたんですよ」
由奈がドヤ顔で言い放った。
「具体的にはどのくらい送られたの?」
「ざっと段ボール15箱分です!」
「「多っっ!」」
さくらんぼは確保出来たし、上に乗せるフルーツもいちごとかなら予算内に収まるだろう。
‥‥いける。これならいけるぞ!
そんな時、穂乃果さんが一時的に戻って来た。
「どう?なんか決まった?」
「「「はい!」」」
「お!良い返事だよっ!じゃあ具体的に教えてもらっても良いかな?」
「「「春のフルーツ乗せチェリーパイです!」」」
「うーん、ちょっと予算的に厳しいかなー」
「実はですね‥‥」
由奈がさっきの話し合いで決めたことを穂乃果さんに伝えた。
「‥‥そっか。ならいけるんじゃない!」
「やりましたねっ!」
俺と由奈がハイタッチを交わす。
「じーーー」
その様子を天音が嫉妬深い目で見ていた。
「あ、天音さん?どうかしましたか?」
「つーん」
「いやつーんってなんだよ!」
「つーん」
天音がずっと意味不明なことを言うので、俺が困惑していると由奈が耳打ちをしてきた。
「‥‥ふむふむ。‥‥女心は分からんな」
「先輩、そんなこと言っちゃダメですよ!」
「すまんすまん。よしっ!天音!」
俺が自分の掌を天音に向けると、天音も嬉しそうに掌を向けてきた。
パチンっ!
俺と天音のハイタッチの音が部屋中に響く。
「いっった!天音!少しは加減してくれよ!」
「唯人のばーかっ!」
何はともあれ、天音の機嫌が直ってよかった。
「よしっ!こっから忙しくなるよ!」
「「「はいっ!」」」
場が引き締まった空気になり、俺達は早速チェリーパイの準備を始めるのだった。
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