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「ノ、ノイン様⁉ 魔物が体に⁉」
私は顔の前で人差し指を立てる。
ロディは黙ったけど、顔面蒼白。私の体をペタペタ触る。
「やめちぇ!」
「痛い!」
身を屈めたロディの頭頂部にチョップを見舞った。
今は幼いとはいえ、私は元アラフォーの女だ。無遠慮に触られるのは抵抗がある。
いくら相手が美男で、ちょっと気持ち良くなっちゃったりしていてもだ。
しっかり分別をつけておかないといけない。流されてたまるもんですか。
「ロディ、わちゃちはちっちゃいけど、レディなんだからにぇ!」
「も、申し訳ありません! ですが――!」
「あのね、これがわちゃちの力なの。ちクレア、出てきちぇ」
呼び掛けると、私の手の平からシクレアが現れる。
シクレアは、何? と言いたげに首を捻る。
「ごめんにぇ。お願いがあるにょ。ちクレアの毒の解毒薬ってもらえにゃい?」
《いいわよ。だけど何? その話し方? 伝わってることにも驚きだけど》
《ごめんごめん、聞き取りにくかったわよね。まだ上手く話せないのよ》
私はロディから受け取った小瓶のコルク栓を取って、シクレアの前に出す。
シクレアは小瓶に鎌を差し入れて、その先からポタポタと滴を垂らした。
《ふぅ、これだけあれば大丈夫よ。半分は刺された傷に掛けて、もう半分は飲むと良いわ。そしたら、十分もすれば治るから》
《ありがとう、シクレア。私の体で休んで》
《こちらこそ。ノインの中、居心地が良いわ。花もいっぱい咲いてるし、素敵》
シクレアが私の中に戻る。
これもエルモアのギフトの力。私の体は、魔物の住処になるのだ。
もっとも、住ませられる数には限度がある。今の私は三体が限界。
体を鍛えて、戦える力がついていくと、住処が拡張されていくらしい。
居心地も良くなるみたいなので、頑張らないとね。
というか、居心地が悪いと、交渉成功した魔物が逃げ出しちゃうのよね。
だから、家主の私は責任を持って快適空間を提供しないといけないって訳だ。
高ランクほど贅沢になるって話だからね。
自分の生存率を上げる為にも、ビシビシ鍛えて、住み良くしていかなきゃ。
それにしても、住まわせてる魔物に食事が要らないのは救いだわ。
その点は、心からエルモアに感謝よね。
魔物のご飯なんて、用意する自信がないものね。
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