第1章:やぶれた鬼
昔々の話
昔々の話である。
かつてこの地は、何もなかった。
町と呼べる程栄えておらず、数十人の村人たちで細々と暮らしていた。
名もない村で、寒さが厳しく貧しい土地であった。
水が清らかであること以外、取り柄がなかった。
ふとしたことで開いた地獄の門から鬼たちが訪れた。釜を洗うため清らかな水を求めていたのである。
しかし、地獄の門が開きっぱなしになったことで、地に熱が籠り、源泉もまた温かくなった。
温泉である。
鬼たちはその湯の心地よさにその仕事を忘れ、お湯を堪能しているうちに地獄の門は閉じてしまい、鬼たちはその村に住むことになった。
鬼に温泉を堪能させる代わりに、鬼たちは村を繁栄させるために地獄の火の使い方を村人たちに教えたという。
そしてこの地は鬼が地獄から持ってきた「釜」から「釜業町」と呼ばれることになったのだった。
そして鬼たちは今も、その地で生きている。
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