答東阿王牋一首
琳、慎んで申しあげます。先日はかたじけなくもお心のこもったお手紙を頂き、併せて「亀の賦」をお示しいただきました。開いて拝見いたしましたが、まばゆいばかりにみごとなお作でございます。殿には世にぬきんでた才能を身につけられ、青萍・干将の剣のような切れのよい能力を持たれ、鐘を切りつけるとも音立たず、機に応じてすっぱりと断ち切るというさえがございます。これこそは、天性の異才であって、あとを慕って近づこうとしてもだれも近づくことができません。
「亀の賦」は、その音の美しさや意味するところはもとより深達であるうえに、さやかなことばや優れた句は、炎の燃えるように輝いております。例えてみれば、飛免や流星が、山を越え海を越えるがごとくであり、龍驥も追随しようとはしません。ましてや駕馬には、足を並べることすらできないところでございます。さて今、白雪の脅、緑水の調べを聴いてから、東野や巴人の下鄙な音楽が、一層その卑しさを増したように思われます。殿のお作は何べん読んでもうれしくておもしろく、やめようと思ってもそれができないありさまでございます。謹んでひつに収めて愛重し、吟唱いたしましょう。琳、謹んで申しあげます。
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