失題詩(まとめて一つとも、四句ずつバラバラとも)

春天潤九野,卉木渙油油。 春天九野を潤し、卉木渙にして油油たり。

紅華紛曄曄,発秀曜中衢。 紅華は紛にして曄曄、発秀は中衢を曜す。


仲尼以聖德,行聘遍周流。 仲尼聖德を以て、行聘遍く周流たり。

遭斥厄陳蔡,帰之命也夫。 斥に遭ひて陳蔡に厄し、之を帰るは命なり夫れ。


沈沦衆庶間,与世无有殊。 沈沦す衆庶の間、世に与して殊有るもの无し。

紆郁懐傷結,舒展有何由。 紆郁して懐傷を結び、舒展すること何の由有らん。


轗軻固宜然,卑陋何所羞。 轗軻するは固より宜然なりて、卑陋何ぞ羞ずる所となる。

援茲自抑慰,研精于道腴。 茲を援け自ら慰むるを抑へ、研精せん道腴を。


春の空は大陸を隅々まで潤し、草木は輝いてつやつやしている。

赤い花はもつれてきらきら、花開いて大通りを照らしている。


孔子は聖徳をもってして、儀礼を伝え歩いては周流の礼をあまねく広めた。

斥候に遭って陳と蔡の国境で苦しみ、そこから無事に帰ったのもそれは運命だ。


私は俗世間に埋もれているが、世に味方した者で特別な才能を持った者はいない。

うつうつと感傷の思いを結び、広げる事に何の理由があるだろうか。


困り果てているのはもとよりこの通りだ、己の地位の低さをどうして恥じることがあるか。

これを助けて自然と己を慰める事を抑え、究め吟味していこう、道理の神髄を。


☆並び順は漢詩検索サイト「捜韻」(https://sou-yun.cn/index.aspx)で出てきた順を採用。四句ずつの内容が全く違う気も、繋がりがある気もする。

一~四句目は、句をまたいで花を描き春を克明に詠もうとしている。鈴木修次先生の言う激情とリアリズムが詰まった作品では?

ただしラスト二句はマジやっつけ訳だから嘘だと思ってほしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る