第7話 君子危うきに近寄らずってね

 ここで振り向いたら何かの事件に関わる可能性がある。振り向かなければ、俺は無関係で何事もなくやり過ごす事も出来るだろう。背後の状況が気にならないかと言えば嘘になるけど、ここに来て面倒事はゴメンだ。

 そう結論付けた俺は、助けを呼ぶ少女の声を無視する事にした。そう言う声は聞こえなかった。それでいい。


 ただ、無視しただけだと厄介事が自分に向かって襲いかかってくるかも知れない。そんな不安が俺の中で大きくなって、気がついたら走り出していた。一旦駆け出してからは夢中になって本気で家に向かって全力疾走。

 自分でも何でここまで怖がっているか分からないほど、死にものぐるいで走っていく。家までは後ちょっとだ。そのくらいの距離なら何の問題もない。


「見えたッ!」


 迫り来る見えない恐怖に打ち勝って、俺はついに自分の家に到着した。玄関のドアを開けて中に入るとすぐに鍵を締める。これでもう大丈夫だ。安心した俺はその場にストンと座り込む。


「ハァハァハァ……。やった! やったどー!」


 こうして俺は無事に帰宅に成功。そこからは何の変哲もない時間を過ごす。もしかしたらここでまた何かが起こるかもと危惧したものの、そんなアクシデントは何ひとつ起こらなかった。

 夜も更けてベッドに潜り込む。悪夢を見るかもと少し構えていたものの、そう言う事もなく普通に朝を迎えた。窓から射し込む朝日と小鳥達の声がやさしい。


 いつも通りの朝。今日もいつも通りに過ごしていこう。まずは、起きるかな



 無事に帰宅に成功したエンド。



 あとがき

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649106000106

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