第12話 ソラの正体

 応接室に集まった15人はみんなソワソワしている。もしかしたらまた事件が起こるんじゃないか。その時のターゲットは自分なんじゃないかと、それぞれが疑心暗鬼になっているようだ。

 こう言う場合の人々への対処法を俺は知らない。なので、必然的に大人に頼る事にする。


「ここから先は全部ソラさんに任せていいですか」

「ああ、任せてくれ。って言うか、僕もあんまり自信はないんだけどね」


 彼はそう言うと疑惑の3人を呼び出して、それぞれのアリバイを確認する。そこから話の矛盾を突いて真犯人を探し出す訳だ。この推理ショウを、俺は一番の特等席で見る事が出来た。

 やがて、一番可能性の低そうな藤沢教授が床に手足を落として悔やみ始める。俺はこの大どんでん返しに目を丸くした。


「このツアーは、私が復讐を遂げるために計画したものだった……。もう思い残す事は何もない……」

「おっと、逃げ得は許しませんよ」


 毒を飲んで自害しようとする教授をソラは華麗に抑え込み、鮮やかな手付きで両手に手錠をかける。初めて生で見る逮捕術に俺は更に驚いた。


「えっ? ソラさんって」

「ああ、僕は刑事なんだ」


 こうして事件は解決して、俺達も開放される。俺も本当なら事情聴取を受けなくちゃいけない立場だったものの、ソラの計らいで免除された。


「君のお陰で色々と助かったよ。有難う」

「ソラさんもお仕事お疲れ様です」

「ああ、君も好奇心を抑える術を身につけるんだよ。いつも上手くいくとは限らないからね」


 俺はソラさんに手を振って洋館を離れる。散々な寄り道になってしまったけれど、終わり良ければ全て良しだ。とは言え、守秘義務とか色々あってこの体験を俺は口外する事が出来ない。ただそれだけが残念だ。

 暗くなった帰り道、所々で街灯が足元を照らしている。俺は今度こそもう寄り道をせずに、まっすぐに家に向かって歩いていくのだった。



 無事に事件は解決したエンド



 あとがき

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330651670197795

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