第6話 今の自分で十分だから

 廊下を歩いて行く彼女の後ろ姿を見ながら、俺は今後の自分の身の振り方を考える。転校初日にあんな騒ぎを起こしてしまったのだから、しばらく俺の言動はクラス中から注目されてしまうだろう。下手な動きを少しでも見せれば、それはクラス内どころか、学年中、下手したら全校生徒に尾ひれがついて広がっていくに違いない。


「よし、関わらないでおこう」


 俺はギュッと拳を握りしめ、マイとは距離を置く事に決める。波風さえ立たなければ、やがては俺への風当たりも収まってくるだろう。それでいいんだ。最初から美少女と俺に縁があると考える方がおかしかったんだ。カースト上位は同じレベルの人と付き合うべきなんだ。


 その後、俺は隣の席の彼女と必要最低限の交流しかしなかった。マイの方は割と積極的に話しかけてきたものの、俺がそんな態度を取っていたものだから口数も段々と減ってくる。

 やがて、お互いに事務的なやり取り以外では会話をする事もなくなっていった。


 彼女はクラスの女子グループや他の話しやすい男子達の中に居場所を見つけ、クラスでの立ち位置を確立していく。やはりと言うか、当然と言うか、それはカースト上位のトップグループだった。予想通り、最初から俺とは縁がなかったようだ。

 でもこれでいい。オレはオレで今の立ち位置がとても快適なのだから。それに、あの日見たパンツを俺は忘れない。この記憶だけがあればそれで十分なんだよ。



 結局あんまり仲良くはなれなかったエンド



 あとがき

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649435152366

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