第7話 魔王様には勝てねぇーや

 俺は、このまま戦い続けたらどうなるかを頭の中でシミュレーションする。現時点で既に魔法剣はかなり痛んでいる。このまま戦い続けたら、戦闘中に折れてしまうのはほぼ間違いなかった。折れる前に倒せたならハッピーエンドで終わるものの、そうなる確率が低いのもまた事実。

 今ここで死ぬより、まずはどうにか生き延びて次の手を考えた方がいいだろう。


「どうした? 動きが止まったようじゃが」

「さ、流石魔王様。お強い!」

「何じゃ、戦意喪失したか。まぁ、お前の剣で我は倒せぬからのう。だが、逃しはせぬぞ。部下をことごとく殺したのだ。相応の扱いはせねばな」

「そ、そこを何とか! 何でもしますから!」


 俺はこの場を凌ぐために、必死で魔王に食らいついた。生きるためなら、例え泥水をすすってでもこの場を乗り越えねば……。

 この必死の訴えが届いたのか、魔王は顎を触りながら思案に暮れ始める。どうやら首の皮一枚繋がりそうだ。まぁ、魔王からの条件次第だけど。


「なら、我の部下になれ。お前ほどの逸材、殺すには勿体ない。飲めぬなら今すぐ殺す」

「い、いえいえ! 喜んで部下にならせてもらいます!」

「ほう、即答か。気に入った! ならばお前に世界の半分をやろう」


 こうして俺は魔王軍配下になった。軍を立て直し、優秀な部下を育てていく。その功績で本当に世界の半分を任された。その頃には、もう魔王の寝首をかくと言う目的はすっかり忘れ去っていた。

 仕事にやりがいを覚えた俺はその後も魔王軍を盛り立てていくのだが、それはまた別の話だ。



 世界の半分をもらったエンド



 あとがき

 https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649434801415

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