第2話 幻覚が見えるようになりました

 私は今おじさんの姿をした犬を散歩している

 メタボ体形の無精髭の中年に首輪をしリードをつけて散歩している


 しかも四足歩行


 いや、犬なんで合ってるんですよ


 ただね、

 私には四足歩行のおじさんなんですよ

 前を歩く四足歩行のおじさんを後ろから

 着いて行くわけですよ


 しかも全裸

 かなーりキツイもんがあるんですよ


 このおじさん犬は尻尾がないんですよ!

 なので隠して欲しい場所が丸見えで


 もう拷問とかいいようがないわけですよ



 そんな拷問の様な状態で私が四足歩行の全裸のおじさんの散歩をしている理由ですが


 どーもこの犬がおじさんに見えるのは私だけらしく


 家族が全裸をおじさんを愛犬として扱う姿を見て

 私がおかしいのか?幻覚と幻聴的なやつなのかと考え


 スマホでこの全裸のおじさんを撮影してみたら

 ふっさふさのゴールデンレトリバーだったわけですよ!


 ついでしゃべるのはどうなってるのかなーと

 思いスマホの動画で撮ってみると


 これもゴールデンレトリバーがわふっわふっ

 言っている訳ですよ


 つまり


 私の頭がおかしいと分かったわけですね

 幻覚と幻聴ってストレスが原因だったりするらしく


 きっとこのおじさん犬のお世話がストレスだったのではないかとおもう訳ですが

 家族にそんな事を言うわけにもいかず

 今日も散歩につれていっているのです。


「相変わらずおっさんに見えるな」

「だれがおっさんやねん」

「可愛い可愛いわんちゃんやないか」

「まぁ生肉くれたら可愛いポーズぐらいはサービスするで」


 おじさんの可愛いポーズとは?と考えながら

 そもそも犬って生肉食べていいのだろうか?

 もともとは食べていたのかな?などと考えつつ


 どっちにしろ全裸のおじさんの可愛いポーズはいらないなと


「可愛いポーズは遠慮しておきます。」


 おじさん犬ショックだったらしく

 項垂れていた。


 なんだろう、分かってるだけど

 この全裸おじさん犬はゴールデンレトリバーで我が家の飼い犬のロッシで


 でも、私からはおじさんに見えるわけで

 そんなおじさんの可愛いポーズなんて



「無理があるわ!」


 今日もため息をつきつつ散歩するのです。









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