おじさん飼いました。

たかはし

第1話 プロローグ



 うだるような暑い夏が終わり、朝晩の気温が下がってきた朝

 私が学校に行く準備をしていると


「おねぇちゃーん、ロッシがウンチしたよー」

 妹の声が聞こえた


 妹の早紀はロッシ(ゴールデンレトリバー10ヶ月)をよく可愛がってくれるけどお世話がまったく出来ない

 仕方ないので私がやっているのだけど正直めんどくさいし、匂いも嫌だ

 お姉ちゃんだからで毎回毎回毎回毎回嫌な事をなすりつけられるのは納得できない

 お母さんの

「お姉ちゃんなんだから」

 ってセリフは一年で何回も聞く

 世の中の長女、長男はきっと理不尽を感じているはずだ


 しかしやるしか無いわけで


 憂鬱だ


 ものすごーくやりたく無いけど

「はいはい、片付けに行くよー」


 ウンチをいれるビニール袋を準備して

 妹とロッシがいる庭に行くと


 おじさんがいた。


 メタボ体型で無精髭ヒゲ、頭はボサボサで

 見た感じ汚い!


 しかも全裸!なんで?


 なんで

 うちの庭に全裸の変態がいるの?


 ロッシがいるはずの場所には、おじさんがいた


 なぜか体育座りだ

 その後ろには妹がいるんだけど


 妹がおじさんの顔を触りながら

「ロッシ〜💕」

「ロッシ可愛いぃ〜💕」

 汚い!なんで汚いおじさんの顔を触ってるの?

 なんでおじさん?つーか誰だよ?このおじさん


 庭が混沌としていた


 私はロッシの犬小屋を確認してみたけど

 ロッシはいない

 どこにもロッシはいない

 まさか脱走?どこ行ったの?


 しかも、なんで妹はおっさん愛でてるの?

 なにあのおっさん?


 ロッシどこいったの?


 私は混乱しながら妹に


「あれ?ロッシは?」

「そのおじさん誰?」


 妹がおっさんを撫でながら

「ロッシ?ロッシならここにいるよー」

「おじさん?おじさんなんていないよー」


 ロッシどこだよーいないよーおっさんしか

 いないよー

 いや、なんでおっさん撫でてるの?きもくないわけ?

「つーかさぁ!このおっさんだれだよ!」

 あまりのカオスっぷりに私はキレたが


 おっさんは舐めた態度で会釈をしながら

「自分、ロッシやけどな」


 しゃべったー!しかも自分がロッシとかぬかしやがる!


「いやいやおっさんがロッシとかないやろ」

「おっさん!ロッシどこやってん」


 おっさんがとぼけた顔で首をかしげる



 私はお母さんに助けを求めた


「お母さんーロッシいないよー」

「なんか庭におっさんいるー」


 私はお母さんに助けを求めたが

 庭に慌ててきたお母さんは庭を見るなり


「なんだ、ロッシいるじゃない、おっさんってどこいるの?」


 私はおっさんを指差しながら

「おっさんいるじゃん」


 お母さんと妹は困った表情になり

 私は家の中に連行され、ソファーに座らせられ

「犬がおっさん?に見えるなんて」

「幻覚見る病気かしら」

「お姉ちゃん勉強ばっかりして頭おかしくなったんだよ」

「あんた疲れてんだよ、今日の散歩は連れていくからゆっくりしてなさい」

 私は自分の部屋に戻った

 あれは幻覚?しゃべったから幻聴も?

 疲れてるのかなぁ


 ふと窓を見ると


 お母さんがおっさんに首輪とリードを付けて

 歩いて行く姿が見えた


 私は寝ることにした。

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