第27話 念願の……?
俺はステータスを確認した。
【名前】なし
【種族】アクア・シームーン
【レベル】1
【HP】30/30(165)
【MP】673/673
【身体強度】5(22)
【精神強度】471
【スキル】『ポリプ化』『触手術Lv.Max』『鞭術Lv.2』『刺胞撃Lv.7』『蛍光Lv.7』『空間魔法Lv.3』『鑑定Lv.3』『魔力感知Lv.8』『魔力操作Lv.9』『MP回復速度上昇Lv.9』『魔闘術Lv.5』『生魔変換・生』『隠密Lv.2』『魔装術Lv.1』『水魔法Lv.5』
【称号】『世界を越えし者』『器に見合わぬ魂』『賢者』『天敵打倒』
【加護】なし
――これが現在の俺のステータスである。
色々と変わっているところがあるので、順番に見ていこう。
まず最初、何と言っても種族だろう。「アクア・シームーン」というのが現在の種族らしいが、「シームーン」がクラゲという意味だとしたら、日本語で「ミズクラゲ」という名前になるのだろうか?
いや、しかしミズクラゲというのは地球にもいた種類のクラゲで、現在の俺のような姿ではない。それにミズクラゲの英語名は「ムーン・ジェリーフィッシュ」なので、やはり違う存在だろう。
俺は【種族】を『鑑定』してみる。
『アクア・シームーン』――水魔法に長けるクラゲの魔物。その身は珍味や薬の素材として重宝される。特に魔石は中等級の水属性を秘め、錬金術の触媒や魔道具の素材として利用価値が高い。魔法を扱う魔物の常として、経験によって個体の強さが大きく変わることでも知られる。若い個体は比較的容易に討伐が可能だが、長く生きた個体は高位の水魔法を扱う事例も報告され、その討伐には注意が必要。
ふぅ~む……。
相変わらず珍味で薬の素材となる上に、今度は錬金術や魔道具の素材ときたもんだ。俺ってば、どんどん人間にとって狩りの対象としての価値が上がってない?
人間さんとは切実に仲良くしたんだけどなぁ……。ぷるぷる、俺、悪いクラゲじゃないよ!
そしてさらに気になる一文がある。マナ・シームーンの時には表記がなかったんだが、アクア・シームーンになってから「魔物」という説明がついた。そして魔石があるらしい……となれば、だ。
(なるほど。たぶん、これが魔石ってやつなんだろうな)
俺の傘の上部に埋没している透明な石みたいなやつ。これが魔石なのだろう。んで、たぶんだけど魔石を持っている生物が魔物という存在にカテゴライズされているようだ。
魔物になったから、魔石があるからといって、何が変わるのかは正直良く分からん。
いや、何か魔力を操り易くなったような気もするんだけど、『魔力操作』のレベルも上がってるから、そのせいと言われたら納得できそうなくらいの変化でしかないんだよね。
他には……何だろ? 水属性を秘めているとか書いてあるし、魔石があるとその属性の魔法が使えるようになるとか? でも俺ってば最初から『空間魔法』を持ってたしな。それに魔石がないとダメとなると、魔石のない生物――たぶん人間さんたちもだろう――も、魔法を使えないということになってしまう。
う~ん、分からん! 分からんことは考えても分からんので考えない!
次だ次!
レベルが「1」になっているのは、最初から分かっていたことなので良しとして、【HP】や【身体強度】などのパラメータについて。
【MP】と【精神強度】は順当に数値が上がっているんだが、【HP】と【身体強度】はなぜかめちゃくちゃ低くなっている。HP30って何だよ……小突かれたら死にそうな恐怖再びだよ。
でも、減った数値の後ろに括弧で囲まれた数値がある。進化前の数値に近いということは、こちらが本来のパラメータなんじゃなかろうか? んで、成長すれば括弧内の数値に戻るとか。
確証はないから断言はできないけど、そうであって欲しいと願うぜ、ホント。
苦労して上げた【HP】と【身体強度】が減るとか、裏ボス倒す直前だったドラ◯エのセーブデータが消えた時くらいのショックを受けるわ。あの時はマジで諸行無常というか、人生というものへの虚無感でいっぱいになったからね。
まあ、パラメータについては、この体の成長を待つしかないか。
さて、次。
スキルについて。変わったところは、『魔力感知』『魔力操作』『MP回復速度上昇』のスキルレベルが、それぞれ1ずつ上がっていること。マナ・シームーンに進化した時にも上がってたし、魔力が多いとか魔法を使える種族になると、スキルレベルが上がる、もしくはスキルを覚えていない場合、新しく覚えるとかあるのかもしれない。
で、スキルレベルが上がったのはこの三つだけなんだけど……、
(おお……!! 遂に念願の攻撃魔法が使えるようになるのか……ッ!?)
何と言っても、最大の変化は新しいスキルを覚えていることだ。その名も『水魔法』。
いきなりレベル5になってるのは何でか分からないけど。
もしかして、アクア・シームーンという種族は、最初からレベル5相当の『水魔法』が使える種族――ってことなんだろうか?
そこら辺も理由は不明だが、スキルレベルが高いに越したことはない。
んで、『水魔法』の詳細。
『水魔法』――水属性の魔法を使用できる。使用可能な魔法はスキルレベルに依存する。
これはまあ、予想通りだね。重要なのは、どんな魔法が使えるか、である。
以下、各レベル毎に使えるようになる魔法について。
1レベル――「水生成」
2レベル――「水流操作」
3レベル――「水中呼吸」
4レベル――「水中抵抗軽減」
5レベル――「形体付与」
これらの魔法が使えるようです。
……『空間魔法』で使えるようになった各種魔法を見てて予想はしていたんだけど、どうやらこの世界の魔法というのは、「ウォーター・ボール」とか「ウォーター・アロー」とか、そういう技としては覚えないっぽいな。
魔法を攻撃に使いたかったら、覚えた魔法を組み合わせて自分で技を考えろ――という感じかね?
ただ、『空間魔法』さんとは違って、『水魔法』さんはレベル2から攻撃魔法っぽいものは使えるのではなかろうか?
「水流操作」ってつまり、水を操れるってことでしょ?
これは期待できる……!! ……たぶん。
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