決断。

 二人のレアが立ち上がりこちらをみる。ザドは、恐る恐る話しかける。

「あなたたちの考えはわかったわ、私が妹を影から守っているつもりが、妹の方がずっと私の子とをまもってくれていたなんて、私の知らないところで辛い思いをしていたのね、それなのに私は、力を隠して調子にのって……」

「お姉ちゃん!それは違うわ」

 どちらかがかばうように姉に話かける。

「お姉ちゃんに私しかいなかったように、私にお姉ちゃんしかいなかった、だから別にそんなに恨んでいるわけじゃない、心に嫌な感情はあるけれど、ただそれだけ、そんな小さな感情を持ち出すなんて、やっぱりこいつがRRAI、お姉ちゃん、わかってくれるよね」

「いいわよ、私がRRAIとしても」

「え?」

 一方がそういうのできょとんとする。先ほどの言動のつながりをみると、先に話かけたのがBだろうか?

「私にはお姉ちゃんに本音を話せたことのほうが大事だから、お姉ちゃんは、私に願望を重ねていた、けれどそれでもよかった、だけど本音を話してもこうして私を、私たちを救おうとしている、それだけで十分」

 しばらく沈黙をして、下をむいていたが、ザドは決心したように顏をあげた。 

「あなたたちに質問があるわ、私たち姉妹は、ここに来る前、ネッドの拠点である事を話しあった、もし危機におちいったらどちらが犠牲になるかというようなことよ、それで、あなた、レアはどう答えたか覚えている?」

「“私を犠牲にして”」

 ザドは混乱した、なぜならその言葉は両方のレアから同時にかえってきたからだ。しかし続けて一方のレアが話かける。

「けれど私は判断はお姉ちゃんにまかせるわ、もっといい方法があるかもしれないし、だからあの言葉は今はきにしなくていい、彼女は違うみたいだけど」

「!!え?私は純粋にお姉ちゃんなら私をかばうとおもって、だからあの言葉の意味が違うかもしれないと思って」

 ザドはごくりと生唾をのんだ。そして、アデルに命令する。

「左を撃って」

 ザドのいう左とは、いま遅れてしゃべっていた、おそらくBのほうだろう。

「わかった」

 そういってクラウンズのメンバーの一人にアデルが小声でしゃべりかける。クラウンズのメンバーの一人はライフルのようなものをかまえて、ザドのいうように左のレアの肩を撃った。ひらりのレアは撃たれ、弾は殺傷能力のないゴム弾だったが、まるで心が打ち砕かれたかのように地面にへたりこんでしまった。

「どうして、お姉ちゃん」


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