予知、予感
話の主導権を握っているレアorRRAIのA。そしてそれに反抗するようなB。
どちらもそれらしさはある。怪しさもどちらにもある。ここで、さらに場を混乱させるようなことがおきた。Bが主導権を握りだしたのだった。
「あなた、少し口数が多すぎるんじゃないの?それに何もかも見透かしているみたいに、今までの情報からいったら、あなたがRRAIじゃないの?」
「あなたたちだって、いくら“装置”がなくても“予知”くらい行えるでしょう」
「でも私は、いつも口数はそこまで多くないわ、コミュニケーションは姉よりはうまいけれど、でもあなたったら、ほとんど真逆じゃない」
「……そういうけれど、RRAI、だってあなたがそういって私よりベラベラ喋るなら、ほとんど立場は同じじゃない……」
ザドは頭をかかえて、頭をぼさぼさにしてかきむしった。
「あああああ!!!!どっちなのよ!!!」
「お姉ちゃん」
「お姉ちゃん……」
一瞬ザドは手を止める。
「……そうよ、少しまって、“最後の手段”に出る前に、あなたたち、どうして私を恨んでいるって?」
B「それは……お姉ちゃんが私をいじめから助けてくれたあと、二人で暗示をかけて、お姉ちゃん自身にも暗示をかけて」
「ハッ」
ザドは回想していた。確かにそんなこともあったと、自分が暗示をとくまで自分自身がいじめられたと思い込むようになっていたこと、それから、もうひとつ、父の死についても少し、ザドは思う事があった。だがその時はふっと考えが飛んでしまったのだ。
「二人とも恨んでいるのね、そのことを……」
ザドがそう語り掛けると、二人のレアは黙りこくってしまった。ザドはそうみると、というより実際に二人は、次元を隔てただけの本当のレアなのだろうと、奇妙な錯覚じみたものを感じた。
「それだけじゃない」
Aが口を開く。
「お姉ちゃん、ごめんなさい、私は本当は“クラックス”でコミュニケーションをとるのも嫌だったしそこまで好きでやっていたわけじゃない、それに“ネッドの楽園”でダズと関係をもったのだってほとんどこっちを有利にするために、お姉ちゃんはずっと私を守っているつもりだっただろうけれど、私は、私たちは……」
続けるようにBが口を開く。
「そう、これはどっちの“レア”も同じことね……私たちは、お姉ちゃんを守るつもりで生きてきた」
そこでBが思いがけない行動にでた。Aの髪をにぎって、地面に体をたたきつけようとしたのだ。それは失敗したが、AとBは態勢をくずし、転がって揉みあいになった。
「この女!!うそつきめ」
「あんたでしょう!!」
《ドカ、ドカ!!》
女はお互いに殴りあって、ころがりまわった。
ザドが混乱しながら叫ぶ。
「やめなさい、あなたたち!!」
女二人はゴロゴロところがりまわって、しばらくして、ザドにきづきおきあがたった。二人ともやはり身体能力はすばらしいらしく、体のあちこちを怪我しながらも、お互いにひけをとらず、大きな負傷をしていなかった。そして互いをおしのけるようにして、また支えのようにたちあがる。
ザドが叫ぶ
「やめなさい!!レア」
AとB、どちらかわからなくなった二人がともに答えた。
「どっちの!!」
「うっ」
ザドはひるんでしまった。
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