勝利
「あはははは!!!」
と、突然Aがわらいだした。
「やっぱり“そう、そうなのね!”正義は勝つ!!私のほうが立派だもの」
ザド含め皆が戦慄する。
「!?」
「“悪運もここまでくるとわらえてくる”」
顔を隠し頭をさげ、髪の毛で前が見えなかったAは、髪をかき上げ、不敵に笑む。
「そうよ、私はRRAI」
その瞬間、アデルはクラウンズの一人に命令する。
「あいつをうて!!」
《バシュッ》
その銃弾は、あろうことかBに命中した。Aがすべてみきったようにみをかくし、Bをたちあがらせ身代わりにしたのだった。
「うっ……」
痛みに身をよじらせ、呼吸ができないほど苦しんでいるB。ザドがそれをみて叫ぶ。
「やめて!!!もういい、もうすべて無意味だったのよ、彼女はすべて読んでいる……」
「ふふ、そうよ、ザド“お姉ちゃん”……あなたの最後の質問とそれに対する答えも、別次元で何度も経験したこと、けれどこの次元の“私”も“あなた”も同じ答えしかださなかった、いくつかの異変に期待した私がばかだった、私は生き残ることにきめた、あなたたちより、この次元の私より“優秀”だから」
「私は……私、はっ……」
「そうよね、ザドお姉ちゃん、あなたは、自分の妹が自己犠牲を言い出すほど立派だと思った、実際普段のあの子はそうだわ、けれど危機においこまれたときわが身かわいさに保身する、あの時の私が、自分自身が何を考えていたか今でも覚えているもの」
ザドはうちひしがれながら、地面に手をつきながら質問する。
「何を考えていたの?」
「私はねえ、“お姉ちゃん”RRAI、異世界からきた人間が、お姉ちゃんと二人で話しているのをきいていた“どちらかが犠牲にならなければいけない”といっていたことを、土壇場でうらぎって姉を犠牲にしようとすら考えていたのよ」
「どうして、どうしてそこまで」
Bが息も切れ切れに話にわけいろうとする。
「お姉ちゃん……聞かないで」
Aは得意げに口を開いた。
「それはねえ、お姉ちゃん、あなたが、私に父の自殺現場をみさせた張本人だからよ」
「!!!!」
「あの日、私が父の死を目撃したとき、朝方父がおきてこないということで母におこしにいけといわれたのはお姉ちゃんだった、けれどお姉ちゃんは面倒くさがって、私にその役目をおしつけた、そして私は……あのドアをひらき、父の死を目撃してしまった、まだあなたの数倍幼かった私は、心に深い傷を負った」
“A”もといRRAIは踊るようにして、ザドの数メートル前でザドにかたりかける、BはRRAIを止めようと手を伸ばしている。
「私がそれをみたあと、お姉ちゃん何といったか覚えている?“あなたは強い子”そういって自分の罪悪感を覆い隠したのよ、私はそれ以来ずっと“強い子”を演じてきた、二人きりの肉親を守るために、それなのに、自分が幸せにならないままあのまま死ぬのは嫌だとおもっていたのよ」
ザドは顔を上げてBをみた、まるで憐れむような、贖罪の目で・
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