姉妹の心
「アデル!!」
ザドは捕まったままアデルによびかける。
「あなたが“クラウンズ”を率いて、私の命令通りにRRAIを攻撃するのよ」
「……」
少しの躊躇をするアデル、しかしすぐにこう答えた。
「わかった!」
そして、きりっと捕まったザドの後ろをにらめつけた。
「おいジュドー、一時休戦にしよう」
「な……なんだと!?」
ジュドーは行きも切れ切れで、腹部に手を当てて呼吸を整えていた。
「ザドはつかまえた、あとはRRAIを捕まえるだけでお前たちの仕事はおわる、だろう?今は目的は同じはずだ」
「……」
静寂が二人の頭を通りすぎていく。やっと呼吸をおちつけまともに姿勢を正すことのできたジュドーは、アデルに手を伸ばしこう答えた。
「いいだろう、一時休戦だ」
丁度そのとき、まるでピローの能力を見計らっているかのように、少し距離をおいて、上空からRRAIとレアが下りてきた。
《ドサッ》
その二人のうりふたつぶりに、どっちがどっちかまったくわからず、だれもが息をのんだ。
一方その頃、ネッドの研究室で、ネッドはエリーと二人で話ながら、その様子を上空うのハッキングした古びた衛星から映像を拝借し、眺めていた。
「ネッド、彼女たちはどうなるのでしょう」
「さあね、とりあえず、僕はこの監視映像と、ダズからの報告が手に入ればいい」
「あなたは、情というものがないのですか?」
「彼女らは彼女らで決断した、私は誰の見方でもない、自分の見方さ」
「……はあ」
エリーはなさけないやらがっかりするやらの力ない返事をして、傍らのコーヒーにてをつけ、モニターに背を向ける。
「でも、あの姉妹なら大丈夫です、危機はのりこえられる」
「どうしてそう思うんだい?」
「どうしてって、どうしてでしょう、あんなに仲睦まじく、お互いのことを親身になって守りあって、補い合う姉妹は中々いないでしょう」
「そう、そうかもしれないね、でも、君はきづいたかい?」
「はい?」
ネッドは机の傍らの資料にてをのばす。白い部屋とテーブルの上に雑然と群がる資料の中で迷うことなく一瞬でソレをつかみとった。そして、資料の全くおかれていない、おそらくコーヒーや菓子用のテーブルの上からエリーの用意したコーヒーを自分も飲み干すと、今手にした資料をぺらぺらとめくった。
「彼女らは、そんなに仲が良かったかな?」
「え?どういう意味です?」
「僕にはレア、妹のほうがずいぶん苦労をしているように見えたよ、ここに来た時の事を覚えている?」
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