選択

ジュドーが電撃弾を放つ。次の瞬間、上空から人影が落ちてくる。それはレアの直ぐ傍におちた。一瞬、看病をしていたピローもたじろいだ。

《ズドーン》 

「ウッ」

 RRAIが地上に落下した。RRAIはほんの数秒しびれてうごけなかったが、すぐにたちあがりこうつぶやいた。

「やっぱり……」

 立ち上がると、姿勢を整え、次に自分の体のあちこちをさわる。するとスライムのように彼女の衣服や体は傍にいるレアそっくりになっていった。そして最後には、自分の頬にある絆創膏を外した。そこには、ホクロがあった。ジュドーと組合ながらそれをちらりと見たザドは思わずつぶやく。

「あなた!!妹に変身したの!?」

「ククク」

 不気味な笑みを笑い、立ち上がり、レアを引き寄せるRRAI、その姿は完全に瓜二つ。体の状態やら傷の状態、服までも完全に瓜二つになった。

「あははは、ククク」

 不敵に笑うRRAIにイライラしながら、声をはりあげるザド。

「ちょっと、なんとかいいなさいよ」

「いや……ごめん“何一つ変わっていなくて”“この次元も同じ”」

「何が!!」

 ザドがジュドーと格闘を続ける中でも、そのそばで、RRAIは悠長に話をつづける。

「この後に起こることできっとあなたは絶望するでしょう、ザド、でも悪く思わないで、でもそうね、軽く今起きていることを説明してあげるわ」

 そういうと、ザドはぼさぼさになった前髪をかきわけて、後ろに流した。

「あなたたちがRRAIと呼ぶもの、私たちは初めから“他の物”に化けることなんてできない、データ上のあれこれはあなたたちの上層部が嘘をいっているだけ、私たちは、初めから“次元を渡った殺し合い”をさせられている」

「!?」

 驚いた隙にザドはジュドーの一撃を腹部にうけた。

「このっ!!」

「フッ」

 ジュドーはしつこく交戦をしかけてくる。だが体力は消耗しかけてきて気力だけで持っている様子だった。目は映ろで、何も考えず、維持だけで抵抗しているような。

「私は初めから“別次元のレア”だった、あなたに頬を見せたときは化粧をしてホクロを隠していただけよ」

「ちょっとまって、殺し合いって何のために」

「この説明ももう何度もしているけれど、しょうがないか……」

「……」

 RRAIは両手を広げて、アデル、クラウンズ、ジュドーやザドのほうをふりむいてこういった。

「私たち、この世界では“クラックス”というのだっけ?あらゆる近い次元で“私たち”英雄はうまれて、未来を予想して、“良い未来”を築きあげた、けれど、私たち、私を戦わせているものにいわせれば“そのせいで”次元の複雑性が担保できなくなった」

「何をいっているの?次元の複雑性?」

 ジュドーはさすがに力つきたように、地面につっぷし、呼吸を整えはじめた。そこでザドも手ををとめ、RRAIに目を向ける。

「簡単にいえば、多次元にまたがる私たちが、“同じ未来”“同じ幸福”を選びすぎたという事よ、そのせいで次元そのものに問題が生じた、空間に亀裂が走ったり、未知の化け物があらわれたり、だから、私たちの世界でいう英雄、あなたたちの世界でいうあなたたちクラックスは、殺し合いをさせられることになったのよ」

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