混迷
ザドが上空に向かって叫んだ。
「彼らの存在は?」
「予想された通りよ、止めて」
ザドはRRAIの言う通り動こうとするが、アデルはその手をとめようとした。
「いつまで彼女の事を信じるつもりだ、結局君たちが自由になる方法は見つかったのか?」
「それは」
そういわれた瞬間、ザドは返す言葉も見つからなかった。そのとき上空からRRAIがその動きをさとったかのように、言葉を投げかけた。
「簡単なことよ、私はこの次元に期待をしている、もし不規則に、私の予想する以上のことがあるなら、もうあなたたちに危害は加えない、ザド、レア……」
しかし、ザドは迷った。30日まで彼女を自由にするという約束は守れなかった。RRAIはきっと怒っているに違いない。ふと、彼女は冷静になって考えをまとめた。
「クラウンズ、アデルの指揮下に入りなさい」
「は!!」
「……どういうことだ?」
「いくらクラウンズが上層部により派遣されたものでも、現場での指揮権は現場のクラックスに譲渡されるのがきまり、彼らが何を考えているかわからないけど、邪魔はさせない」
ザドの意図をくむように、アデルは、クラウンズに待機の命令をした。
「RRAI、降りてきなさい」
「……」
すると木の上からゆっくりと、ザドとレアそっくりの、頬に絆創膏をした女がおりてきた。
「あなたの狙いはなに?」
「……30日自由に過ごすことはかなわなかった、私が“最後の賭け”にでているだけ」
「最後のかけ?」
「このあと訪れる“悲劇”に私ににた存在がどういう決着をつけるか、ただそれをじっくりまっているだけ、傍観者として……」
《パンッ!!》
それを彼女が言い終える前に、銃声が響いて、彼女、RRAIは住んでのところでかわして再び頭上に逃げていった。
「よくも、よくもこの僕を、これだけこけにしてくれたな、お前たち!!」
そこに立ってRRAIにめがけて拳銃を撃ったのは、アデルに先程気絶させられたジュドーだった。次に助走をつけて、頭に血がのぼっているようで、一直線に、猪突猛進にザドをめがけて、タックルをした。
《ウグッ!!!》
ザドはとっさのことでかわすことができなかった。アデルも下手な命令もできず、体力を消耗しきっていたので、見ていることしかできなかった。
「もとはといえばお前たちがきちんと仕事をしていれば!!」
「こんな若さで妹を失うのも、何もしらないまま正義とやらのために戦わされるのも嫌なのよ!!」
ジュドーは特殊銃を電気銃モードにした。このモードは、射出した玉が命中すると、その対象に一定時間電撃を与えて、行動を麻痺させる。その銃口をよくみながらよけて腹部にケリを与えようと思ったザドだったが、一瞬違和感にきづいた。ジュドーは、自分をとおりこしてはるか上、木の上の何か―おそらくRRAI―をめがけて銃口をむけた。
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