最後の混乱

 ザドとレアが地下の迷宮を通り過ぎ、地上にでると、そこは目的地のすぐそばだった。鬱蒼と茂る林の中で、二人は罠などに警戒しつつ目的地へと急いだ。ドローン“キュラー”で先行して約束の場所を内蔵カメラ見てこさせたが、特段かわったところはなく、まるで映像の通りでRRAIがつかまっており、ジュドーがいまかいまかと自分たちが来るのを腕をくんで、かかとを軸に足の裏、靴で地面をならし、まっているのがわかった。

「よし、いこう」

「お姉ちゃん、ちょっとまって」

「?」

「いくらお姉ちゃんがつよくても二人で正面突破はまずいわ、私はあとからいって、何かあったらすぐ助けるわ」

「そうね、わかった、じゃあ、またあとで」

 そういってザドは意気揚々と敵の群れに進んでいった。キュラーのレーダーで検知しても周囲のほかに人影はない。どうやら本当に、ジュドーの部隊だけで作戦を行っているらしい。

「どうしてこんな少人数で、何か秘密にしておかなければならない理由があるのかしら?」

 そうして林の少しひらけた区画、彼らの影をみつけてそこに侵入しかけたその瞬間だった。ジュドーの顏がみえたかとおもいきや、横からジュドーに襲い掛かった人影があった。

「アデル!!」

「ザド!!RRAIを解放しろ、まだ30日目はおわっていない、急いで逃げるんだ、ネッドとともに君たちに危害が及ばない方法をさがせ!」


 そういった瞬間、ジュドーに馬乗りになりその身動きを封じていたアデルは、顏をなうぐられ、次は反対に、ジュドーがうまのりになった。

「アデル、いつもなら俺のパンチなど軽くかわせたが、今は病み上がり、こちらにも分があるようだなあ!」

 そうしてジュドーはアデルに何度も追撃を食らわせた。


 一方ザドはレアに連絡するとレアはすぐに合流して、ピローとロウルとにらみあった。ピローとロウルは、おびえてこちらをみていた。

「レア」

 小声でザドがレアに話しかける。

「ピローに能力を使われるとまずい」

「うん、わかってる」

 ザドのドローン、キュラーが、キュキュ、と鳴きながら二人にデータを提示する。ザドとレアは二人に堂々背中をむけて、ホログラムに映し出されたデータをみつめる。

「半径5メートル以内なら魔法陣がかけて、成立するまで一分か」

レアがいう。

「二人をひきはがさなきゃね」

ザドは続けて引き受ける。

「ロウルはあなた、ピローは私がなんとかする」

 そういって、二人がめいめいの相手の前に立った瞬間、RRAIのピローとロウルによる拘束がとけ、次の瞬間、レアが奇妙な悲鳴をあげた。

 

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