曲がり角
「あなたたち……なぜここに……クローラと“黒い影の男”はどこに?」
ジュドーのグループはぽかんとして顔を見合わせながらしばし沈黙した。ジュドーが一番奥におり、ロウルは尻をつけないように地面に座り、ピローは立ってRRAIを警戒していた。
「何いってるんだ?俺たちは今ここで黒い服を着て待っていただけだ、お前が“黒い男”を探しているという有益な情報をえてな」
「でも!!私はザドと約束を、ザドはディリアと約束を」
「俺たちの隊はそんなことはしらないなあ」
そういうと、ジュドーは右腕を掲げて、手を広げながらそれをRRAIにむけた。RRAIはそのしぐさをみてすぐ踵を返し逃れようと助走をつけた。その瞬間、背後から怒号のような合図が響く。
「撃て!!」
その合図でピローとロウルが電撃中を放ち、あえなくRRAIはその場に倒れこんだ。
30日正午、皆はネッドの部屋に集まり、ある映像をみた。
「に……逃げて……」
RRAIが電気椅子にしばりつけられ、拷問を受けている様子だった。口からよだれをたらし、額から大量に汗をかき、棒のようなものでつつかれたりしている。少しするとその棒を持つ人間が振り返り、その顔をみせた。ジュドーだった。
「彼女を見つけたかったら急関東区、東京後Bー23地区にこい」
カメラに吐息をかけながら、彼はそうこちらにむいてささやいた。
「ひどい……」
エリーが映像をみて、開口一番そうつぶやいた。次にネッドがつぶやく。
「罠だ、助けにいっちゃだめだ、君たちはおとなしくしていろ、僕らがここで君たちを守る」
皆が一瞬沈まりかえった。ザドが口をひらく
「けれど、このまま30日を過ごしても私たちのどちらか、いえ、妹に危害が加わるのなら全く意味がないわ」
ネッドが答える。
「いや、それについては心当たりがある、今はまだ話せないが……君たちさえここに残り協力してくれるのなら」
次にレアが口をひらいた。
「RRAIの罠の可能性は?」
ネッドが頭をかきながらレアに答える。
「そこまで彼らは知能が高くない、それに“この世界”にきてそれだけの協力をえることや準備をする事自体が難しいだろう」
皆がネッドの椅子をとりかこむように輪になっていたが。またも沈黙がながれる。レアは、頭の片隅で考えていることがあった。RRAIに耳打ちされたこと“必ず姉妹のどちらかが不幸になる”その未来に対する不満を考え、少しでも未来を変える、そのための言葉を放った。
「お姉ちゃん、助けよう!少しでも状況を好転させてみよう、私のあこがれ、お姉ちゃんなら何でもできるはず、きっと救出して、ネッドにとってもRRAIにとっても私にとってもいい未来が選択できるはずよ」
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