機密。

 クラックス・ガーディアンズ日本支部地下のある一室で、話し声がする。部屋の中には巨大なモニターとその対面に一つ椅子があるだけ、白い部屋だった。

「早く吐け、彼らの居所を」

「断……る……ぐあああ!!!」

《バチバチバチッ》

 椅子に男がしばりつけられている。男が尋問に非協力的な態度を示すと、男は電流を流される。髪で顔が隠れていたが、顔をあげると髪が左右にわかれる、うきあがった額からその下、その顔はアデルのものだった。体は作業着のようなものを着せられ、憔悴しきっている様子で、顔も体もぼろぼろに汚れているのだった。

「私はお前をこの年齢まで育てた」

「感謝はしているよ……父さん、けれど……うああああ!!」

アデルは身動きがとれないながらもじたばたともがく。よだれをながし、涙を流す。

「このままいくとお前を殺しかねん」

「やってみろ、クソ親父!!」

「ふむ……」

 そういうと男はスイッチを押した。モニター越しに彼を、アデルを監視する男は

ガスマスクに似た仮面をつけた男“クラックス・ガーディアンズ代表“ディリア・ロード””その人だった。

「ぐあああああああ!!おあああああっっっ!!!」

 アデルはひときわ大きな声をだすと、バタリ、と意識をうしなった。

「ぬう、少々キツすぎたようだなあ、まったく根性が足りぬ、いや、まてよ?生態反応に問題はない……か、狸ねいりかな」

 そういってディリアは、もう一度スイッチをおした。

「ぐああああ!!!」

 アデルは耐えきれなくなり、悲鳴とともに、立て続けに言葉を発した。

「きさま!!何の権限で!!俺は何も隠してなどいない、なぜ隠し事をしていると!!」

「私は、この組織のトップだ、そしてこの組織のトップであることは、現地球の環境におけるトップであるともいえる」

「まだ年端のいかない子供たちを集めて、自分の代わりに戦わせているクズのくせに……」

「うむ、どうやらお前にはしつけが必要なようだな」

 そう言いかけ、スイッチをおしかけたそのときだった。

「まて!!」

 その部屋のドアが開いた。急いでドアをけ破りはいってきたのは、ザドだった。

「ぐああああ!!!」

 しかしタイミングが一足おそかったか、アデルの全身を電気が這った。

「アデル!!アデル!!」

 ザドが近寄ろうとするが、アデルはぐったりしている。モニターのディリアにすぐ目線をうつし、きっとにらめつけて、特製銃を向けてザドは叫んだ。

「お前!!!いくら“ディリア・リード”といえどやってもいいことと悪い事があるはず、本部がこんな事許すはずがない!!早く彼を解放しろ!!」

「なぜだ?そんなにいうなら君が解放すればいい」

 その時、ザドは奇妙な違和感を覚えた。声はモニターからではなく、どこか別の場所からするような。確かに、天井に連絡用のスピーカーは設置されている。そこから声がしたのだろうか?

「はあ、はあ!!はあ!!」

「大丈夫?アデル!!」

 ザドがアデルに近づこうとする。だがアデルは痛みのせいかこちらに少しも反応をしないでいる。

「早く解放しなさいよ!!いくら彼の父親でもやっていいことと悪い事が!!」

 モニターに向かって叫ぶが、モニターのディリアもアデルをみつめたまましばらく動かずにいる。

「ったく、椅子事破壊しようかしら」

「まて」

 そのとき、ディリアの声がどこからか聞こえてきて、こう続けた。

「その男を解放したら、今回の件をみのがしてやろう、だが君も彼と同じ痛みをうける事になるが……なにせかれの体質は特殊でね、もうすでに意識を失って、体に重大な損害があってもおかしくないのにまだほら、ピンピンしている、君の能力からいってそれに触れて無事でいられるとも思えない」

「私を試しているの?」

「ああ、そうともいう、どうする?」

「少し、考えさせて」





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