アリスと白いうさぎ。

  正面入り口にいる警備員にジュドーから無線連絡が入る。

「警備のものか?何か異常はなかったか」

「正面に、ザドさんがいますけど」

「そいつは何かたくらんでる、様子をさぐれ」

「は、はあ」

 そうして通信をきると、背後に目を光らせる“白いうさぎ”と二つのドローンがうかんでいた。

「何かあったの?」

「いえ、何も……」

 “白いうさぎ”は、そういいかけた警備員を、特製銃のスタンガンモードで、気絶させるのだった。後ろをふりむくと、大勢の警備員が彼女のその様子をみていた。


 ジュドーは、その後、本部に連絡をとっていた。背後には目もくれず、急いで連絡をとる。

「もしもし本部?“地下”は無事ですね」

 倒れて気を失っているはずの“アリス”がごそごそとうごいている、壁にてをつき、体を起こす。

「ええ、ええ」

 ジュドーは後ろに気配を感じてふりかえる、だがそこには何もいなかった。

「……奴はどこに??」

 そういいながら正面をみると、宙からケリがふりかかってくる。壁の両方にてをつき、クモのように天井にはりつく“アリス”がいた。

「貴様……!!そんな技は見せたことも!!貴様本当に……レアか?」

「私は“アリス”ホクロは偽装よ、私はザド」

「ハッタリを!!ザドなら私に身体能力で勝てると思うのか!!」

 そういってジュドーは急いで、彼女の足にとびつきくみつこうとした。だがアリス“ザド”は、そのまま両ひざでジュドーの首をつかみ回転させてなぎ倒した。

《ドサッ……》

「うぐ、こんなバカな、そんな姿勢から、こんな力の足技がだせるなんて、お前は本当に“あのザド”か?」

 倒れたジュドーは、うつぶせになり、がっちりとホールドされ、うごけない。見下ろしたザドは、ジュドーに命令する。

「そんなことはどうでもいい、ドローンにこの施設の見取り図をださせて、私は“アデル”を探しているの」

 ザドはそういうとジュドーの眉間に銃をつきつけ、化粧で描いた自分のほくろをぬぐった。寝ころびながら、ジュドーはドローンに指令をだす。ドローンはジュドーの顔の横で、施設の見取り図をホログラムで映し出す。

「出したぞ……」

「アデルはどこ?」

 そういうとしぶしぶジュドーはある地点を指さした。

「ここにアデルがいるのね」

「ああ、だが……無駄……ガッ」

 何かをしゃべりかけるジュドーの首を、拳銃の底で打って、彼を気絶させると、ザドはあゆみを進めた。


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