突入。
「どうしてもいくのか?」
「ええ、また“RRAI”に何かされてもこまるし、それに約束だから」
「僕らは、君ら二人にここにいてもらってもいいんだ、その……君たちに価値があるとわかったから」
「どういうこと?」
「いや、この話はまた今度にしよう、娘に君たちをすくってもらっておいて、それに君たちはRRAIをとめて、取引をするんだ、君たちの選択だし僕も今は応援しよう」
「??」
出発前、ネッドと奇妙な会話をしながらも、彼女の意思は固かった。RRAI曰く、アデルはまだ日本支部にいるらしく、ネッドの協力を得て手に入れた情報からもそれは確からしかった。作戦はザドとレアの二人で行うことにきめていた。日本支部にもともとクラックスの人員は少なく二人。ネッドが通信を傍受した結果、本部に所要で召集されているらしい。かくしてRRAIが出現した27日目、作戦は決行された。なずけて“アデル救出作戦”。
日本支部の入り口前、だだっびろく横にも縦にも長い階段の前の柱に隠れて、帽子をかぶり、サングラスをして女優帽をかぶった女が通信端末をとりだす。
「こちら“アリス”そちらは?」
「こちら“白いうさぎ”今から作戦を開始する」
そういうと、白いうさぎとなのった、ホクロのないウルフヘアーの女性が、たちあがり日本支部の正面から突破していく。まったく悪びれもなく、怪しいところもないという風に正々堂々と。日本支部はまるでお城のような形状をしており、ところどころに神社仏閣をもしたような意匠をほどこされた建築をされている。
堂々と歩いていくと、警備員がこちらにきづいた。私服であまりにも堂々としているし、そもそも地上を出歩ける人間はこの世界では“普通”ではない。すぐに警備員がでてきて、かけつけてきた。
「ちょっと、そこのあなた」
「はあい、警備員さん」
「!!」
少したちどまり、サングラスと、帽子をとり、胸元からカードをとりだすと警備員がうろたえる。
「それは、クラックスの身分証!?」
「そうよ」
警備員はすぐに敬礼をした。
「し、失礼しました、しかし!!レア、いや、あなたはウルフヘアーで、その顔立ち、双子の……ホクロがない!!クラックスの“ザド”様!」
「ええ、ちょっと休暇でたちよったのよ、あなた子供はいる?」
「え、ええ!!」
「サインをあげるわ」
作戦はまず一人が表から入り警備の手を陽動によって弱める。第一は“ファンサービス”警備の人間、それどころかこの世界中どこを探してもクラックスを知らないものはいないし、誰もが憧れるヒーローである。そんなところに、本部から突然ヒーローが現れたら、驚き騒動になるだろう。この作戦が機能するのは本部が“レアとザドの失踪”を隠しているからだ。これもRRAIから聞き取り、ネッドと確認をした。そこで第一段階として一人がここで警備や警戒の目を引き付けるのだった。
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