秘密。
“クラックス・ガーディアンズ代表“ディリア・ロード””
リーダーアデルが、ザドとレア達の調査に向かったとき、彼の部屋にあるクラックスメンバーをよびよせていた。
「入れ」
「はっ」
そこに現れたのは、オールバックの前髪は左右にわけている、シャープな目鼻立ちの黒の髪と青い瞳をした男、サブリーダーのジュドーだった。
「まあ、座りたまえ」
そういって男は、来客用の高級なソファーに彼を案内し、その隣の彼の席にすわった。
「……」
ジュドーは案内されるままにソファーにすわったが、代表の彼の異様な姿―ガスマスクのような形状をした仮面をつけた姿―にいつもながら少し怖れおののいて黙り込んだ。
「まあ、そうかしこまるな」
「は、はあ」
「今日よんだのはな、君に内密の仕事を頼みたいと考えたからだ」
「なるほど」
そういってディリアは、モニターの電源をつけた。
「君たちにはザドとレアの失踪の事実を内密にしてもらっているところだが……」
“彼”の視線を追うジュドー、モニターには彼女らの下にもう一名、特殊離反者“ネッド”の画像が映し出された。
「“特異離反者”はしっているな」
「は、はあ、存じております」
「うむ、どうやら私の雇っているスパイの報告によると、今回の彼女らの失踪事件―ザドとレアの失踪には“特殊離反者”が関わっているようなのだ、それをRRAIが指図したようだ」
「なぜ、どこからそんな情報を?」
「……」
しばしの沈黙。その沈黙が答えだった。
「君は知らなくていいこともある、君にはザドとレアの失踪を世間に内密にしたまま、アデルの監視をしてもらいたいのだ、もしチャンスがあれば彼女らを捕まえてくれ、だが必ず生きてかえすように、特殊離反者の情報がほしいからな、君には特殊な報酬をわたそう」
「内密の調査ということですか?」
「ああ」
彼は代表を尊敬しているしそもそもチームの中に不満がないわけでもない、だから彼は、その依頼を請け負ったのだった。
ザドが“特殊離反者のコロニー”にきてから8日後。その間ザドはなんとかネッドと二人きりになる機会をうかがっていたが、いつもだれかがそばにいて近寄れなかった。なんとか深夜に彼の部屋を覗くことができたこともあったが、確かにその時怪しい事はなく、彼は鼻歌を歌いながら、どうやら自分たちの画像をモニターに移して調べものをしているようだった、その夜も同じように彼を監視していた。いつもなら、クローラが同じ部屋にいたり、ダズが外で見張りをしたりしていたがその日は部屋はあけはなたれていて、扉も空調のせいかぱたぱたと開閉していた。それにあわせてしずかにザドがこっそりとネッドの部屋にしのびこもうとしたとき、後ろからこえをかけられた。エリーだった。
「あなた、何してるの」
「なにって、いまいいところだったのに」
「よくみて、今ダズが部屋の中にいるわ」
部屋の扉が開閉する、確かにダズがその中にみえた。
「深夜でも監視してるわ、そういう男なの」
「どうにか彼の部屋に忍び込んで、早めに決着をつけたいのよ、RRAIの話が事実だとして私たちにどのくらいの余裕があるのか、どの程度の救いがあるのか早くつきとめないと」
「彼は、もう少しで君たちの潔白を証明できるといっていたわ、10日は準備すると、あなたたちの事をしらべているだけよ」
「単なる脅しでもいい、せかすためにも一度ネッドと彼と話しをつけたい、あなたに迷惑をかけないし、彼に危害を加えることなんてないから……」
困った顔をするエリー、しかし手を合わせてお願い、と嘆願するとエリーのほうがおれたようだった。
「わかったわ、7日後の夜、私がダズの気を引くから」
「7日!?」
「それくらいが限界よ、彼もそこを“締め切り”に設定したわ」
「たしかに、それなら脅しの口実もできるか……」
そして15日目の夜、作戦は決行された。ザドはエリーに“ありがとう”をつげて別れそれぞれが、別の役割をした。エリーはダズをネッドの部屋からなるべく遠ざけ散歩をする。これがおもいのほかうまくいって庭の方までいってくれた。ザドは彼女に“ありがとう、絶対に迷惑はかけないから”そういったので、エリーのほうも安心しきっていた。ところが、ことは起こった。
「手を挙げなさい、この“特製銃”は実弾も撃てるのよ、装填さえすればね!!」
ザドはそういっていきなり弾丸を想定し、銃口をネッドの後頭部に向けたのであった。ネッドはあえなく降参し仕方なく協力をする対価としての“ある交換条件”を彼女に提示するのだった。
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