第299話 元殺し屋に見られるのって、怖すぎるんだが?
第二回、三回戦目と、簡単に勝ち進むことが出来た。
今日はここまでらしい。
また明日、四回、五回戦目をやるとアナウンスが流れた。
トーナメント表を見るに、明日で終わりそうだな。
「勝ち進めば五回戦行ったあと、決勝だね」
「みたいだな、魔力と体力との勝負になりそうだなぁ」
しかも、後半になればなるほど強い奴らとの戦い。
今日は雑魚どもとの戦いだったから、余裕で魔力も体力も温存できたけど。
明日は絶対にそんなこと出来ないよなぁ……。
「…………?」
なんか、視線。
アマリアのせいではないよな?
周りもさすがに、もう慣れただろう。
なら、なんだ?
「今回の新人、強いぞ」
「強敵だ、対策しておこう」
「明日、ぶつかるか?」
「勝ち進めば……。対策だけでもしておこう」
…………なるほど。
勝ち進めば目立つのか。
「…………最悪」
「これは仕方がないよ、耐えなね、知里」
「はぁ~……」
※
管理者について、今夜のうちに聞いておこうと部屋に戻った時にアマリアに聞いたんだが「一週間経ってないよ」と断られ、就寝。
そんで、今はフィールドで、第四回戦目が行われている。
昨日勝ち進んだ者達だからか、一戦一戦が長い。
様々な魔法が飛び交い、見ているだけで心が踊る。
「なんか、楽しそうだね」
「自分が関係ない所で魔法が飛び交うのって、心躍るよな」
「"自分が関係ない"ところっていうのが、知里らしいね」
「まぁな」
――――おっ、終わったらしいな。
負けた方、泣いてる。
まぁ、泣くよな。
だって、金、欲しいもんな、うんうん。
直ぐに準備が整い、次の試合が始まった。
俺はこの試合の次。もうそろそろクラウドを覚醒させた方がよさそうだな。
隣を見ると、クラウドが立ったまま鼻提灯を膨らませ寝ている。
一度は起きたんだけど、観戦してたらまた寝ちまった。
時間的には、まだ早い方だもんな。
今は九時すぎ。…………いや、早くは、ないよな。
社会人だった頃は――――同じくらいに出勤していたな、そういや。
考えても意味ない、早くクラウドを起こそう。
――――ピィィィイイイイイイイイ!!
「おい、クラウド、おきっ――……」
――――ワァァァァァァァァアアアアアア!!
おわっ!? な、なんだなんだ??
一際大きな歓声!?
「――――え、試合、終わってる?」
もう、試合は終わってる。
俺が、目を離した一瞬、そのうちに終わっていた。
「今のは、凄かったね」
「俺、目を逸らしていたんだけど」
「あぁ……どんまい」
どんまいと言われても、困るんだけど。
えっと、今回の相手は……。
銀髪男と赤髪男が勝ったみたいだな。
俺が目を離したのは、開始の合図が出されるほんの少し前。
クラウドに手を伸ばした時に、開始の笛が聞こえた。
そんで、届く前に、終わった。
「――――っ!」
銀髪男と、目が、合った……?
深緑色の瞳、右目が前髪で隠れている。
な、なんだ?
なんで、俺を見る?
目を逸らさずに見ていると、赤髪男が声をかけ視線は逸らされた。
「……なんだったんだぁ?」
「今のが元殺し屋の、ソフィア・ウーゴだよ」
…………はぃ? え、はぃ??
「あんなチビが?」
「それ、僕の前で言うの?」
「おめぇのは好んでだろうが」
「まぁね」
遠目ではあったが、身長は大体百六十くらい。
そこまで大きいわけじゃないし、平均より下じゃないのか?
まぁ、身長なんて関係ないか。
フィルムがいい例だ。
んー、目を離した隙に、何があったんだ?
「次の方ー、早く準備の方お願いします」
「――――あっ」
俺達だったわ。
クラウドは――――寝てるな。
横腹を殴り無理やし覚醒させ、襟を掴み引きずりフィールドに移動。
そう言えば、次の相手って誰だっけ。
名前を見てもわからんから、もうどうでもいいなって思っていた。
「えぇっと…………あ」
刀を腰に差している少年二人。
こいつら、双魔を使っていた霞と水魔法使いだ。
近くで見ると、本当に小さいな。
フィルム位の大きさ、小学生くらい。
だが、その実力は、子供なんかじゃない。
これからは、油断せずに行かないとな。
体力温存と魔力温存もしておきたい。
これは、クラウドに頑張ってもらおうかな。
「いってぇ…………」
「試合が始まるぞ、意識は覚醒したか?」
「ちっ…………」
「今回はお前に頑張ってもらうぞ。俺は魔力とかを温存したい」
「…………」
「勝ち進めば俺の炎魔法を見る事が出来るぞ」
「任せやがれ。俺様が今回、あいつら二人を殺してやるよ」
殺すな、気絶程度にしておけ。
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