第44話 やっぱり、新しい物ってわくわくするよね
大量の蝙蝠を楽々倒した後、上に続いている螺旋階段をひたすら上がる。
途中にまた蝙蝠が出てきたけど、もう面倒くさかったので、俺が基本魔法で全滅させた。
この魔導書まじで神。溜めなくてもいいだなんて、最高じゃないか。
「もう少しで中間地点じゃないか?」
「そうね。中ボスが現れるはず」
「中ボス?」
中間地点とかあるのか。
そこには、雑魚ではないモンスターがいるという事だよな。
Bランクダンジョンだから、Cランクの何かかな。それか、Bランクのモンスターが現れるのか。
どっちにしろ、俺にとっては楽勝な相手だろう。
アルカも普通に強いし、いざという時はリヒトの援助がある。
急いで階段を上り終わると、一度階段が途切れた。
奥を見るとまた階段が続いているのがわかるが、それより他に気になる物が……。
「真ん中に宝箱?」
「確実にトラップだろ」
お、こういう時真っ先に飛び込みそうなアルカが気づいた。
さすがだな、やっぱり経験が物を言うのな。
「……ん? なんで、お前らは俺の両腕を抑えているんだ?」
「いや、走って行かないように……」
「走らないが?」
「宝箱に飛びつかないようにしないとと思いまして」
「飛びつかないが?」
「「お金につられてミミックスに近づかないように」」
「お前らは俺を何だと思ってやがる」
なに、この二人。俺なら何も考えず宝箱に跳ぶ着くと思っているのか。
馬鹿にしすぎだろ、あんなわかりやすいトラップに引っかかる程、俺は金の亡者ではない。
って、今こいつら、あの宝箱をミミックスとか言っていたな。
宝箱のモンスターはミミックスという名前らしい。ランク的にはどのくらいなんだろうか。
「ミミックスのランクは確かBのはず。油断しなければ余裕で勝てるぞ」
「なるほど、それなら問題ないか」
アルカと顔を見合わせ、警戒しつつ豪華な宝箱に近づく。
少しづつ、少しづつ…………。
目の前まで行くも、宝箱は動こうとしない。
あれ、なんで動かないんだ? もしかして、本物の宝箱なんじゃ?
「触れてみるぞ」
「おう」
アルカが宝箱に手を伸ばっ――
「うわぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
「でたぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」
宝箱に口ぃぃぃぃぃいいい!!! めちゃくそ宝箱がでかくなるし気持ち悪い!! 涎が出ている!! もうこれいやだぁぁぁぁああ!!!
「~~~~~~~~
――――――――ギャァァァァァァァァアアアアアア!!!!
・・・・・・・・・。
あ、やべ、威力間違えた。
跡形もなくミミックスがなくなってしまった。
まぁ、うん。いきなり襲ってきたあいつのせいだ、気持悪かったから仕方がない。
「…………何があった」
「宝箱が豹変した瞬間に俺が炎の弓矢を放ち抹消。以上」
「楽勝にも程がある」
「俺だからな」
と言っても、今回はまじで神技だったと思う。一瞬で弓を作り出し放ったんだからな。
人間の反射神経ってすごいんだなって思った瞬間だったよ。
「準備していた私、無駄だった」
「ごめんて」
「魔法の無駄撃ちしなくて済んだと考えようぜ、リヒト」
「…………うん」
俺は無駄撃ちしたけどな。
いや、無駄ではないのか? でも、ここまで強い魔力はいらなかったはず。基本魔法で十分のはず、魔力の無駄遣いした気分だ。
「んじゃ、上に行こうか」
「おー!!」
再度、俺達は階段を上る。エスカレーターが欲しい。
――――――カツン カツン
階段を上り始め、またしても数十分。
途中何度か雑魚モンスターが出てきたけど、瞬殺。体力だけが徐々に削られる。
んで、またしても俺達は今、蝙蝠に囲まれていた。
「ダンジョンの雑魚って、同じモンスターしか出てこないのか?」
「基本はそうですよ。雑魚は同じです」
「なるほどな」
はぁぁぁぁぁぁあああ、めんどっ。
「もう一回前後で倒すか?」
「カガミヤさん、まだいけますか?」
「俺は行けるけど…………」
行けるけど、アルカの体力が無駄に消費する可能性があるな。
こんな雑魚、時間すらかけたくない。
あ、そうだ。単純作業がめんどくさいのなら、新しい事を試してみればいいか。
「アビリティ」
『はい』
「全方位攻撃ってある?」
『属性はどちらがよろしいですか?』
「どっちの方が出しやすいの?」
『水属性の方が形を自由自在に操れます。威力重視なら炎属性がよろしいかと』
なるほど、操作性重視が水、火力重視が炎か。
今回の相手は雑魚だし、威力は気にしなくてもいいな。
「水属性で」
『でしたら、
「ウェイヴ・ワーター…………か」
予め魔導書に魔法は印字済み。すべてではないけど。
今回おすすめしてくれた魔法は――――よし、偶然だけど、印字していた。
「よし、試し打ち、させてもらうか」
全方位にいる蝙蝠を見回し、狙いを定める。
初めて使う魔法だから、少し楽しみだ。早く全ての蝙蝠を殺したいな。
「んじゃ、行くよ。
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