第12話 それ、嘘ですよ
「みみみ、美月さん……今のって!?」
「き、聞かないでください。……恥ずかしいです」
そう言うと顔を赤らめてそっぽを向いてしまう美月さん。あまりの行動に相田さんも野田さんも目を見開いて呆然とするばかりで固まっている。
というかガチでそういうことなのか!? つまり美月さんは俺がす、好きってことなのか……いや、でも実際キスしてくれたし。デコだけど。
「でも照れますね。まさかデートにこんな決まりがあったなんて驚きです」
「ん?」
「えっ?」
「はっ?」
顔を赤くしてモジモジしている美月さんが漏らした一言に俺と相田さんと野田さんは三者三様のリアクションを見せる。
普段なら顔を赤くしてモジモジしてる美月さんとかどんなご褒美だよ。と悶えていることだろうが今、この時ばかりはそんなことが気にならない。
あぁ、でも顔を赤らめてモジモジしてる美月さん見れるとかなんというご褒美。……ごめん。さっき嘘ついたな。うん。
「あ、あのー美月さん決まりって?」
「あっ、もしかして南沢さんも知らないですか? 仲間……ですね。実はですねデートで会う時の最初の挨拶はき、きききキスって決まってるんです!!」
「「「そうなの!?」」」
美月さんの思わぬ発言に俺は驚きを隠せない。見れば相田さんや野田さんも驚いたような顔をしていた。
「外国とかだと友人同士で普通に挨拶のキスとかあるじゃないですか」
「えっ、はい。ありますね」
流石にそのくらいのことは知っているので頷く。
「それで日本だと友人と挨拶でキスは流石にしませんがデートの時は挨拶としてキスをするのが暗黙のルールらしいんですよ」
「「「そうなの!?」」」
あまり今まで触れてこなかった世界に俺は戸惑ってしまう。知らなかった。デートなんて一度もしたことないからそんなこと知らなかった。
野田さんや相田さんも知らなかったのか呆然としている。俺としては2人ともデートくらいしてそうな感じだと思ってたがどうやら違ったらしい。
「そ、そうだったのか」
「デートってそうだったんですね……」
と驚きを隠せていない。でも念のためにも1つ尋ねておくことにした。
「い、一応聞きますけどそれ誰から聞いたことですか?」
「えっ? 麗華さんですよ?」
「「麗華さん(ちゃん)!?」」
「ん? どうしたんだ2人ともそんなに急に身構えて、南沢?」
麗華さんからの情報と聞き俺と相田さんはお互いに目配せをする。1人状況を理解出来ていない野田さんと、余程キスが恥ずかったのか 顔を手で隠している美月さんを横目に素早くスマホを取り出すと調べる。
「「やっぱり!!」」
「ど、どうしたんですか?」
俺と相田さんは同じタイミングで声を上げる。その声を聞き我に返った美月さんが驚き何事かと尋ねてくる。野田さんも何事かとこちらを見てくる。
「美月さん……それ、麗華さんの嘘です。そんなルールどこにも載ってません」
「こ、こっちもです。……れ、麗華ちゃんめ」
「「えっ?」」
俺と相田さんの返しに美月さんは固まり、野田さんは少しびっくりしながらも納得した様子。
麗華さんからの情報……ということもあって調べてみたが正解だったな。見ると相田さんは肩を震わせて怒っていた。
美月さんが俺に勘違いでキスをしてしまったことにキレているんだろう。相田さん俺から美月さんを守りたかったっぽいし。
「と、とにかく麗華さんの嘘ですのでそこまで気にしなくても」
「えっ、あっ、でも南沢くにも迷惑を……」
そして問題は処理しきれなくなったのか頭を抱えて呆然としてしまっている美月さんの存在だろう。そりゃそうだ、ルールだからと思ってなんとかキスをしたのにそれが嘘だったんだから。
俺にとってはラッキーでしかないが美月さんにとっては不幸でしかないないだろう。そう考えると喜ぶことは出来ない。
しかし、どうも美月さんの様子を見ていると顔を赤くして慌てるばかりでショックを受けてるとかではなさそうなんだが……。
「あ、あのー美月さん?」
「ニャい!?」
心配になったので声をかけると上ずったような声が返ってくる。見ると手は震えて顔は真っ赤であった。
「俺は大丈夫です。だから落ち着いてください。それよりも美月さんは大丈夫ですか?」
俺は心配になり近寄ろうとするがそれよりも前に限界を超えたらしい美月さんはその場にうずくまってしまう。
「えっと……つまり麗華のが嘘で……そんな決まりはないのに私は南沢くんに許可も得ずにき、きききキスを!? はぇぇ? うん?」
「美月さん!? 大丈夫ですから落ち着いてください」
「えっと……つまり地球誕生の全てのルーツはエジプトにあって……それで」
「美月さん!? しっかりしてください。何の話ですか!! それとあとなんでエジプトなんですか!?」
結局この後、美月さんが立ち上がり野田さんや相田も落ち着いたのは十分後くらいだった。
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なんかカオスになってた! 作者はなんにもしてないので麗華さんが悪いということでここはひとつ。
ちなみに作中の「ニャい!?」は最近の実話だったりします。友達が噛んでいっててすごい恥ずかしがってました。
現実でこんなことあるんだなと思って入れてみました。事実は小説よりも奇なり、ですね。
それと昨日は大変申し訳ございませんでした。皆さまからの温かいコメントも頂きただただ感謝です。
返信してもすぐにあの話は非公開にするつもりだったので迷惑になるかと思い出来ませんでしたがめっちゃ感謝してます。本当にありがとうございました。
では!
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