第11話 頭痛が痛いぜ☆


「ん? どうした南沢、そんな死にそうな顔して」

「本当ですね。どうしたんですか南沢くん」

「ええ、まぁはい」


 俺を様子を見て心配して覗きこんで来る2人からなるべく遠ざかりながら俺は曖昧な返事を返す。いや、実際ガチで死にそうなんだけどな。


(なんて奴だ。あんな美少女を2人もはべらかせて……人類の為にるしかないな。うん、そうだな)

(俺は今日俺が産まれた意味を理解した。それはこいつをころす!ただそれだけだ)

(ミンナノ……笑顔ノ為ニ……コ……ロ……ス)


 ねっ、ほら奥さん。遠く離れていても感じるこの殺意……分かるかしら?(錯乱)

 お2人さんも分かってくれ! 2人に近づかれると俺の死へのカウントダウンが始まるんだよ。俺まだ生きてたいんだよ。


「おい、なんでちょっとずつ離れてくし! そ、その〜ちょっとくらい今日の私を見ての反応とか欲しいというかなんというか……」


 しかしそんな俺の願いもむなしく少し顔を赤らめた野田さんがジリジリと距離をとっていた俺に近寄ってそんなことを言う。


「ごめん、今の無理!」

「なっ……ひ、ひどい」

「本当にごめん……でも今は命の方が大事だから」

「なんで!? なんでこんな平和そうな場所でそんなこと起こってるわけ?」

「理由は話せないけど……なるべく近づかないでくれ」


 俺の命を守る為に。


「ちょっとの感想くらい」

「無理だ」


 下手言えば俺が殺されるからな。


「ひ、ひどい」


(((あんな可愛い子を泣かせるなんて、なんて悪い奴。やっぱりるしかない!!)))


 どっちにしろ詰んでんじゃねぇか! 俺の助かる選択肢ねぇのかよ!


(((今回ばかりは許すから彼女を褒めてあげてくれ!)))


 だからナチュラルに脳内会話してくんな! そして何故そこだけ寛容なんだ。

 とまぁ、一応身の安全も保証されたので野田さんに感想を伝えることにする。


 正直、俺からの感想とか絶対いらないとは思うけど本人が望んでるっぽいしな。あれか?

 本当に好きな人と来る時のために聞いときたい的なあれなのかな?


 そう思いながら野田さんの格好を見てみる。

 少し茶色がかった短い髪をなびかせて、赤いシャツに黒色の膝まで伸びたスカートを着こなし、足を出すのが恥ずかしいのか長めのタイツを履いている。


 さっきまで焦りすぎてちゃんと見れてなかったけど……。


「……めちゃくちゃ可愛いな」

「うぇっ!?」


 目の前の野田さんから変な声が聞こえたが構わずに伝えることにする。


「髪だってめっちゃ綺麗に整えられてるし、普段スカートなんて履いてるイメージないけど上手く着こなしてて……なんかデートみたいな服装だな。いや、ちゃんと連れ添いの為ってのは分かってんだけど」

「なっ、なっ、なあぁぁぁ!?」


 あれ? なんか顔を急に手で覆っちゃったんだけどどうした? また俺セクハラしちゃったパターンか? ……やっぱり俺は服とか褒めない方がいいのかもな。嬉しくないだろうし。


(((殺す!! 殺しきる!!!)))


 しかもなんか聞いてた話と違うし。服褒めたらセクハラだと思われた上に男どもに暗殺宣言されるって……。


「色々と不幸だぁぁぁぁぁ」

「あっ、南山さん!」


 俺があまりの現状に絶叫をしていると美月さん天使の声が聞こえた。


「み、美月さん?」

「私以外みんなもういたんですね。すいません遅れました」

「いや、全然遅れてないです! というか俺たちが早すぎただけなんで。本当に」

「……私ももっと早く来てれば南沢さんを独り占め出来たのかな」


 遅れたのではないかと気にする美月さんだが実際のところ遅れてないどころか早すぎるくらいだ。……それよりも俺たちが早すぎただけで。

 うん、本当にみんななんでこんなに早いんだろうな。


「そそそ、それはそうと南沢さん」

「慌てなくて大丈夫ですよ美月さん落ち着いてください」


 やけに慌てた様子の美月さんが俺の元へと近寄って来る。脳内に例のごとく暗殺宣言が流れて来るが無視だ。美月さんのが大事!

 美月さんは基本的に落ち着いてるイメージだから、もしかしたら体調が悪いのかもしれないからな。


「そっ、それでですね南沢さん」

「は、はい。というか距離近すぎませんかね!?」


 異様なほど接近して顔を真っ赤に染めている美月さんを見て俺の中の心配度が上がっていく。本当に体調が悪いんじゃないか?


「ちょっとしゃがんでください」

「へっ? なん____」


 俺が美月さんに聞くよりも前に俺の肩が美月さんに掴まれ次の瞬間にはおでこになにか柔らかいものが当てられる。


 なんだこれ? すげぇ柔らかくてほんのりあったかくて……そして聞こえたチュッという音。


「えっ?」


 俺の目の前には何事もなかったかのように佇んでいる美月さんが立っている。いつもならあぁ、やっぱり美しいなぁ。とか考えるのだが今の俺にそんな余裕はない。


「えっ? えっ? あれぇぇぇぇぇ//」


 も、もしかして今のってき、キスぅ!?

 だとしても!なんの為に? 夢なんじゃ?

 いやでもデコに残る確かな感触。あれ? ガチでどゆこと?


 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 今回は美月さん頑張りました。次回 デコキスで波乱が巻き起こる。南沢……生き残れるかなぁ。


 もし少しでも続きが気になったり面白いと思ってくださったら星や応援お願いします。


 ちなみに11月中に完結予定です。(だからあと20話前後ですね)


 では!







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る