第9話 お前は馬鹿か?
『なにぃ、デートの約束を取り付けたと!?』
「う、うん。出来ればちょっと声量を落として貰えると……ほら、恥ずかしいし」
私は自分の部屋で電話越しに聞こえる麗華の驚いたような大きな声に私は少し恥ずかしくなりつい顔を赤くしてしまう。麗華のお母さんとかに聞かれたら絶対冷やかされるから嫌なんだけど。
『なにはともあれやったな! 美月は出来る子だって私は分かってたぞ〜、よしよし』
「……ちょっと恥ずかしいんだけど」
『可愛い奴め! ウリウリ』
楽しげな声を出してカラカラと笑う麗華の声を聞いて私も嬉しくなる。報告して良かったなぁ。自分で言うのもなんだけど今日は本当に頑張ったと思う。
ライバルが現れて焦ったというのも勿論あるけど、それでも自分から一歩踏み出せたのは大きいと思う。
よほど南沢さんが
つまり、南沢さんに好きという気持ちを伝えたも同然なわけで……そう考えると恥ずかしい気もするけど、誇らしくもある。
今この場に南沢さんがいるなら私を撫でて褒めて欲しいくらいだ。
「でさぁ、麗華に頼みたいことがあって」
『うむうむ、なんでも言ってよいぞ。我、今上機嫌なり』
「土曜日デートで水族館に行くんだけど」
『ふむふむ』
「ど、どんな服着てったらいいかな。他の女の子も来るから南沢さんの目が奪われないようになるべく目を惹くのがいいんだけど……」
『プツーン』
「あれ? 麗華?麗華?れいかぁぁぁ!?」
私が言った瞬間に麗華との電話が切れてしまう。電波でも悪かったのだろうか?
プルル プルル プルル
そう思った瞬間すぐにまた電話がかかってくる。……麗華からだ。
ピッ
「もしもし麗華? さっきはなにがあっ____」
『さっきのは冗談なんだよな? そんなわけないよな? なぁ』
「さっきのって……他の女の子達も来るってところ?」
『うん、そうそう____って達!?』
「うん、相田さんと今日知り合ったばかりの野田さんも来るって話だった」
『美月……お前は馬鹿か?』
「ひいっ!?」
突如として耳元で響いた麗華の冷たい声に思わず声が出てしまう。これはマズイ。私は慌てて電話を切ろうとするが次に響いた大声にやられて切ることが出来なかった。
『それはデートじゃねぇ!!!!! よくも私を騙してくれたな。このツケは大きいぞ』
「で、デートだよ? 4人で行くだけで」
『それはデートとは言わない!! というかなんでそんなことになんの!? 南沢さんはアンタと2人で行きたいはずだからそんなこと言う人じゃないから、私の予想としてはその2人の女に言われて美月が許可したという展開しか見えないんだけど?』
「うっ」
麗華の完璧な推理に思わず唸ってしまう。来週から名探偵でも始めたらいいのではないか?
『なんで美月はライバルを入れ込んじゃうのかなぁ』
「だ、だって南沢さんは私のモノじゃないし。独り占めっていうのもフェアじゃないというかなんというか」
『フェアじゃない……ねぇ』
「な、なに?」
私の言葉を聞いて麗華はつまらなそうに息をつく。
『この際だから言うけど恋愛にフェアとかフェアじゃないとかないから。恋愛は戦だからね余裕かましてるといつ首をとられてもおかしくないわ。だからフェアなんて考えずに美月は南沢くんと付き合うってことだけを考えてればいいの』
「で、でも」
『でもじゃない! 他の女なんて蹴散らしてやるってくらい気概がなきゃいい男なんてあっという間に盗られちゃう』
麗華にそう言い切られ私はなにも言い返すことが出来ない。
『まぁ、やってしまったことは仕方ないからそのデート相当頑張る他ないな』
「で、でもどうしたら」
『そこはだな……して……更に……して……すんだよ』
「そ、そこまでするの!?」
『常識だな』
「で、でも流石にそこまでは……」
『うっさい! 美月はやらかしてんだからこのくらいやらないと南沢さんを落とせない』
「うっうぅぅぅぅぅ」
『だからちゃんとやるのよ』
「……分かった」
『よろしい、では次の報告を待っているよ』
そう言うと麗華は電話を切ってしまった。
そして1人、部屋の中で私は。
「やるって言ったけどそんなこと出来ないよおぉぉぉぉ〜//」
1人のたうち回るのであった。いや、本当に無理! 絶対できっこない。でもやらないと南沢さんを落とせない……うっうぅぅぅぅぅ。
しかし私は電話越しだからか気づくことが出来なかったんだ。麗華がまさか嘘をついていた……なんて。そのことがキッカケで騙された私は南沢さんに接近しすぎることになるのだけどそれはまた後のお話。
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次回 波乱まみれの水族館デート(?)
麗華に騙された美月さんは……?
面白いと思ったり続きが気になった方は是非是非星や応援お願いします。
明日は休日なので二話投稿の予定です。(今日は学校の模試があったんですいません)
あと関係ないんですけど土曜日に学校で模試あったのに月曜日の振り替え休日もなにもないってなんですか? 泣いていいですかね?
英語が
では!
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