第8話 カオス極まった状況ではおかしさに気づけない


「なんでそもそも4人で行くんですか!2人で行くからデートって言うんでしょう?」


 相田さんも何故か参戦し最早状況が分からなくなった俺は根本こんぽんへと戻ることにする。

 野田さんだけならまだしも相田さんまで来るとなると俺が美月さんといれる時間が更に少なくなってしまうからだ。

 ここはなんとか美月さんを説得して2人っきりで行かせてもらえるように頑張るべきだ!(ゲス顔)


 野田さんも相田さんも美月さんを俺から守ろうと必死なのだろうがそうはいかない。

 なんとか説得して俺と美月さんでデート に____。


「いいですよ」

「美月さん!?」


 なっ、美月さんまさかのオッケー!? で、デートのはずでは? ここは真意を確かめる必要が!


「み、美月さんそれはどういった意図が?」

「……単純に3人ですと誰かと誰かが話している時や遊んでいる時に1人余ってしまうので4人の方がいいと……」

「グハッ!」


 まさしく正論。俺と美月さんだけで行った場合は上手く会話が弾まなければ悲惨なデートになる可能性がある。

 そもそも美月さんは今回デートに誘ってくれたが今までの恩返し的な意味なのかもしれないから、俺と2人っきりで行きたいわけではない可能性だってある。


 そこで野田さんの出番というわけだ。確かに女性2人の方が美月さんは安心出来るかもしれないし、美月さんの精神面を考えるなら野田さんがいた方がいいだろう。

 ……俺はなるべく2人で行きたいわけだが。


 しかし、野田さんも加えた3人で行った場合2人が話していたりなにかしている時1人余ってしまう場合もあるだろう。ようするに相田さんはそれを防ぐ為に来てくれるということだ。


 なんで2人がそこまでして来てくれるのかは分からないが筋は通っている。少なくとも否定出来る材料はないわけで……。


「お願い……します」

「「はい!」」


 美月さんとの2人っきりのデートは諦める他ないということだ。いや、美月さんが楽しめればそれでいいだけどね。

 美月さんが楽しめれば俺も嬉しいし楽しいわけだから。


 とは言え好きな女性と2人っきりでデートに行きたいと思う男のさががあるのは仕方ないことだと思わない?


「じゃあ、どこに行くか決めますね。意見がある人はいますか?」

「俺は美月さんが楽しめれる場所ならどこでも!」

「な、南沢さんはすぐにそういうことを……と、とにかくなにか意見はありますか?」

「はーい、私はありますよ」


 相田さんが少しだけ不機嫌な様子で手を挙げる。俺を睨んでる気もするけど……理由が分からないからスルーってことで。


「私は……心霊スポットがいいと思います」

「「「心霊スポット?」」」


 思わぬ提案に首をかしげる俺。するとやはり変に思ったのか野田さんが尋ねる。


「いや、そこデートで行くとこじゃ……」

「なに言ってるんですか? 男女で怖い所に行ってドキドキする。これもデートの一種だと思います」


 いつものお姉さん感はなくまるで子供のようにキラキラとした目をして話す相田さんに俺と美月さんは固まってしまう。

 しかしそんなことは知らない野田さんは「ならば」と新たな提案を持ちかける。


「そ、それならお化け屋敷のがいいんじゃないんですか? わざわざ本物のとこ行くってのも……」


 少し震えた様子の野田さんはそう告げる。もしかして苦手だったりするのだろうか?


「なに言ってるんですか! 本物だからいいじゃないですか! 本当に帰ってこれないかもしれないスリリング! 出るかどうかも分からず道を彷徨う男女、いいですよ」

「よ、よくありませんし!」


 しかし、相田さんの興奮状態を抑えきれずなんとか反論するも口調が変になってしまった野田さんを見て美月さんは嘆息する。


「ほ、他にも意見ありませんか?」


 声が若干震えてた。もしかして美月さんも苦手なのか? 野田さんはほぼ確だろうけど。


「はい、私は趣味と実用性も兼ねた所がいいと思う」


 野田さんはよっぽど心霊スポットが嫌なのか先程までは発言する気配すらなかったのにそんなことを言い始める。……まぁ実際俺も嫌だけどね。デートで心霊スポットとか。


「というと?」

「ジムだな」

「デートじゃねぇ!!!!!」

「南沢……ジム馬鹿にすんなし!」

「ジムを馬鹿にしてるわけじゃない! デートでジムってどうなのかって話を……」

「よく言うと思うんだけど……ジムデート」

「聞いたことないよ、そんな言葉」

「目指せボディビルダー」

「デートの最終目標がそこってどこに向かってんだよ、そのデート! つーかやっぱりデートじゃないだろ、それ!」

「ちなみに私だけは週三で通ってるのだよ」

「なっ!」


 そう言って自慢げに腕をさする野田さん。まさか、筋肉があるというのか。……いや、全然そんな風には見えないけど人は見かけによらないとはよく言うし……。


「最近、腕立て10回出来るようになったし。

 トレーニングの成果は出るんだよ!!」

「「「………」」」


 野田さんは(ほぼ無い)胸を張って自信満々にそう言った。そして俺と美月さんと相田さんはと言えば。


「「「頑張ったね」」」

「でしょ!」


 俺たちの言葉に嬉しそうに頷く野田さんを見て思う。


(((かわええなぁ)))


 あれだね。なんかちっちゃい子がトレーニングしてるのって本人は真剣にやってるけど周りからすると可愛いしかないよね。

 野田さんは別に俺と同学年だしそんなことはないのだが何故かそう思った俺であった。


「「「まぁ、却下だけど」」」

「なんで!?」


 うん、可愛くはあった。でもそれとこれとは別の話。デートにジムはあり得ないだろう。

 ということで野田さんのもなし。となると……。


「わ、私としてはですね」


 美月さんも自分が言うしかないと思ったのか少し言葉を詰まらせながらも口を開く。


「水族館がいいと思います!!! ……いや、私がペンギンさんを見たいだけとかそんなんじゃなくて。特に皇帝ペンギンさんを見たいとかそういうのでもなくて……」


 大きな声で言い放った後、俺たちはなんにも言っていないのに1人アタフタし始めた美月さんを見て俺と野田さんと相田さんの心は1つに固まった。


(((可愛い!! 決定!!!!!)))


 その間、0.5秒。即決であったことは言うまでもない。


 とまぁ、そんなわけで俺たちのデート(?)は水族館に決まったのだった。



 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 次回 美月さんは電話で麗華さんに怒られる?


 少しでも面白いや続きがみたいと思ってくださった方は星や応援是非是非お願いします。

 更新スピードが上がるかもです!


 では!










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る