第3話 学校にて


 俺は教室に入ると席に着きスマホを机の上に置くとノートを広げ4時間目の漢文の予習再確認を始める。何故かいつも色んなところから視線を感じるが多分気のせいだろう。俺を見たってなんにもないしな。


 そんなことを思いながらチェックをしているとスマホがピコンと鳴る。俺はチェックを終えるとスマホを手に取り開く。……浩介こうすけからだ。


 浩介:今日、熱引いた。ノートを明日見せてくれないか? 対価は払う。


「今日は浩介は休み……か」


 俺は呟くとスマホを操作してメッセージを送る。


 みなと:んじゃ1億円よろしくな


 ん? すぐに返信がきたぞ?


 浩介:払えるか!

 みなと:んじゃ対価はなしでいいよ

 浩介:お前それが目的だったろ? 遠慮しなくていいから

 みなと:あっ、空を見て鳥をボンヤリと眺める時間だ。ゴメン。対価考えてる暇ないからなしでいいよ


 俺は最後にそう打ち込むとスマホの電源を切りカバンの中へとしまった。メッセージが届けられてももう、鳴らないはずなのに音が鳴ったような気がしたが気のせいだろう。


 予習の確認も終わり浩介も来ず暇なので俺はバックから本を取り出して読もうとする。

 そんな時だった。


「な、南沢。こんにちわ」

「おぉ、野田さんじゃないかこんにちわ」


 野田 さきさんが俺の目の前に立ち話しかけて来た。野田さんは少し茶色がかった髪に美しい黒の瞳にモデルのようにスラッとしたスタイル。

 胸は……本当曰く発展途上とのこと。そしてコミュニケーション能力も高くクラスのカースト上位にいるような人物。

 しかし、野田さんはたまにこうして俺に話しかけにくるのだ。理由は分からないけど。


「今日は浩介くんはいないんだな、どうしたの?」

「あぁあいつなら熱引いて休みだって」

「そうなんか? ……それは好都合」

「ん? なにが好都合なんだ?」


 野田のよく分からない発言に首を捻らせる。


「もしかしてあれか? 俺の唯一の友達が休みで今日はボッチでよかったですね?とかいう感じか?」

「ち、違うし! そういう意味じゃなくて」

「俺は知ってんだぞ。野田さんは男子から人気がある。そしてそんな野田さんがほぼボッチの俺に声をかけてくるわけ……それは」

「に、人気なんてないし。それに南沢は知らないだろうけどアンタかなり人気が……」


 野田さんが少し照れた様子でなにか言っているが小さすぎて聞き取れない。


「ボッチである俺を馬鹿にするためなん____」

「ちっがーう!!!」


 俺の言葉に対して全力でツッコミを入れる野田さん。今日も元気そうでなによりだ。


「冗談だよ。冗談。本当は野田さんが可愛いからって絡んでくる奴らから隠れて標的を俺に仕向けるためだろ」

「ちっがーう!!!!!」

「なんだ、違うのか〜」


 俺は予想が外れたと言わんばかりの口調で肩をすくめる。しかしそこで野田さんは声量せいりょうを落として俺の耳元で囁いた。


「いつから気づいてた?」

「……なんのことだ?」

「私が落ち込んでんの気づいてたんでしょ? それでワザワザ明るい雰囲気にする為に」

「なんのことやら」

「棒読みすぎだし、目泳いでるから ……アンタ嘘が下手くそ」


 バレたか。野田さんの目は今日は伏せがちだった。いつもなら目を合わせて元気に接してくる彼女にしては珍しいなと思っただけだから確証はなかったが。


「理由も聞かないしね」

「聞かれたくないんだろ?」

「はぁ、本当にアンタは自分を犠牲にするよね。ワザワザ私に嫌われるようなことを言って私を励まそうだなんて」

「大丈夫だ。俺は美月さん一筋だから。それに野田さんがボッチに話しかけてる好きなのとか変な噂立てられたらいやだろ?」


 俺は野田さんを納得させるべく言い聞かせるが野田さんがため息をつく。


「私が気にするっての。……それにしても南沢は変わらないな」

「当たり前だ。昨日も振られたがそろそろオッケーが出ると信じてる」

「……ちなみにどんな感じで振られたわけ?」

「1回目の告白は秒で断られて、2回目しようとしたら途中で遮られて食い気味でNOだったな」

「……はぁ?なにその女羨ましすぎるんですけど?」

「ん? 今なんか言ったか?」

「……なんでも。それよりそんな感じでよくオッケーもらえるとか言えるわ」

「あと10年通えば!」

「出来るか! ってか10年も経ったら彼女もほかの人と結婚しててもおかしかないし」

「じゃああと100年!」

「2人とも死んでるわ」

「そこをなんとか」

「私に言われてもどうにもなんないし。ってかその頃にはアンタにもパートナーいるわよ。……例えば少し茶色の髪の女の子とか」

「なんだその具体的なチョイス?まぁ、俺は美月さんしか考えられないから」

「……ねぇ、アンタ今日もその美月さん?に会いにいくの?」


 なんだ? 野田さんがなんか怒ったような顔をしてるぞ? なんだ、なにが原因なんだ!?

 俺は少しその迫力にビビりながらも答えることにする。


「も、勿論。今日も美月さんはシフトに入ってるしな」

「わたしも……」

「ん?」

「わたしもいく」

「へ?」

「あんたがいくカフェ屋にわたしもついてくって言ってんの! その美月さんとやらを見にね!」


 少し頰を膨らませた野田さんはそんなことを言ってくるのだった。まぁ、野田さんにも美月さんの魅力が伝わるなら嬉しいから俺は構わないんだけど。


 どうしたんだろう?



 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 次回 野田さん美月さんと出会う?


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 では!










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