第24話 sideルベウス

「はぁ...まさか俺がこんな面倒なこと引き受けちゃうなんてなぁ〜。」


サフィニア達と別れて、廊下を歩きながらしみじみと思う。

前の自分だったら、いくら同情したからといってこんなこと引き受けなかっただろう。

短い時間でこんなにも自分はあの二人に影響を受けていた。


「っと、ここかな。」


サフィニアが言っていた場所につくとそこは何の変哲もない壁だった。

だが、そこに扉があるとわかっていると違和感があるのがわかる。

視覚などではただの壁だといっているのに、確かにそこにあるという感覚の違いで気分が悪くなる。

扉を完全に認識するために、壁に意識を集中させる。


「お、ほんとにあるじゃん。サフィニア、よく気づいたな〜。言われなかったら絶対俺気づかなかったわ。」


やっとのことで扉を認識できたため、部屋の扉を開ける。

サフィニアの言っていた通り、魔法がかかっている為か部屋に鍵はかけられていないようだ。

鍵がかけられていないのに中にいるエルフ達はどうして逃げないのだろう。

逃げる気がないのか逃げられないのか....。

どちらにせよエルフ達から話を聞く為に部屋の中に入る。


「............!また来たのか!」


中に入ると、すぐにエルフにそう言われた。

警戒しているようで、俺を睨んでいる。


「俺は怪しい者じゃないよ〜って言う方が怪しいかぁ。んーとね、俺は君達と話をしに来たんだよ。」


「俺たちと話すだと?俺は話すことなんてない!帰れ!」


「そんなこと言わないで聞くだけでもいいからさぁ。ま、聞かないって言われても勝手に話すけどね。」


視線を合わせるためにしゃがみ、二人に言う。


「二人はさ、なんでこんなところにいるの?」


「そんなこと聞いてどうする。」


「この後に必要になってくるからその確認にね。」


エルフは答える気がないのかそのまま口を閉ざした。

やっぱり聞けないかと思い、どうするかと考えていると、ずっと黙っていた女の子が口を開いた。


「ここの家の人に連れてこられたの。」


「ローズ、話す必要なんてないだろ。」


「別に話したところで変わらないんだからいいじゃない。」


少し諦めたように彼女は言う。

彼女の様子にもう一人もそのまま口を閉ざした。


「二人はさ、家に帰りたい?」


俺は二人に質問をする。

その質問に二人は、


「そんなの帰りたいに決まってるだろ。」


「でも私達逃げられないから....。」


「逃げられない?出られないじゃなくて?」


「そう、部屋の鍵は常に開いてるの。それにいつでも部屋から出れる。でもこの家から逃げようとするといつも捕まっちゃう。」


「.......どこに逃げてもすぐに見つかる。まるで俺らの居場所がわかっているみたいに。」


どこにいてもすぐに見つかるか。

恐らく、逃げても位置がわかるように魔法で印でもつけているんだろう。

外からは認識阻害魔法で、内は印をつけて逃げられても見つけられるようにしているから扉に鍵をかけていないのか。

それより問題は、魔法をどう解除するかだ。


「俺、魔法使うのそこまで得意じゃないんだよなぁ。」


ため息を吐きつつ、仕方がないからアメジス達に助けを求めることにした。

二人ならどうにかできるだろう、多分。

アメジス達に魔法で連絡を送ると、二人の方へ向く。


「とりあえず、外に出よっか。」


俺は二人に手を差し出す。


「話を聞いていなかったのか?逃げられないといっただろ。」


「大丈夫、大丈夫!俺を信じて!」


二人の手を掴んで立たせると、部屋を出てそのまま二人を小脇に抱えて屋敷の窓から逃げ出した。


「ちょ、何すんだ!下ろせ!」


「暴れないでよ〜。落としちゃうでしょ。」


暴れる彼を押さえつつ、アメジス達の元に走っていく。


「どこに向かっているの?」


「何とか出来そうな仲間のところ!」


なるべく人がいない道を通って行くと、二人の姿を見つけた。


「おーい!アメジス、サフィニア〜!」


「あ、ルベウスおかえり。」


アメジス達の前につくと二人を下ろした。


「それでどうにか出来そ〜?」


「サフィニア、出来るか?」


「わかんないけどやってみる!」


「何するつもりなの?」


「見てればわかるよ〜。」


サフィニアはアメジスにくっつくき魔法を使う準備をした。

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