第23話

エルフは女の子と男の子で二人は僕に気がつくと、男の子は女の子を守るようにしつつ僕を睨みつけ、女の子は困惑したような表情をしていた。


「お前は誰だ!あいつの仲間か!?」


男の子が睨みながら僕に言う。


「あ、あいつが誰かわからないけど、多分違うと思う。僕はえっとこの部屋が気になっただけで....。ご、ごめんなさい!」


そのまま僕は部屋を飛び出した。

年下らしき子に怯えるのはどうかと思うけど、ずっと睨みつけてくるんだもん!怖いよ!

僕は、元いた部屋に走っていく。

そして部屋につき、扉を開ける。


「サフィニア!」


中に入った途端、アメジスさんに抱きしめられた。


「随分と遅かったが大丈夫か?何かあったのか?」


僕が少し遅くなってしまったせいか、アメジスさんに心配をかけてしまってらしい。


「広くてなかなかトイレが見つからなかったってだけで、特に何もないよ。」


「そうか....。ならよかった。」


本当はあったけど、それは後で相談しよう。

僕は部屋の中を見る。

どうやら商人は既に来ているようだ。

そして、商人と使用人の他にもう一人いることに気がついた。

僕は急いでアメジスさんと椅子に座る。


「すみません、遅くなってしまって。」


「いえいえ!この家は広いですからねぇ。そうなるのも仕方ないですよ。」


商人がニコニコと笑いながら言う。

なんかこの人凄い機嫌いいな、どうしたんだろう。

もう一人の男の方を見てみると、明らかに貴族であろう人だった。


「では、本題に入りましょう!この度は助けていただきありがとうございます!こちらをどうぞ受け取ってください。」


そう差し出してきたのは、沢山の宝石だった。

え、え?なにこれ、宝石?

うわ、全部高そう。

僕が戸惑っていると、


「これはお礼ですので、遠慮なく受け取ってください。」


そう言われた。

そうは言われても受け取るのは少し躊躇しちゃう。


「じゃ、ありがたく受け取っとくね〜。」


横からルベウスが宝石を受け取る。

躊躇も何もないなぁ!?


「それで、これで終わり?終わりなら帰りたいなぁ。」


「いえ、実は一つ提案がありましてね。この方はアルノ・ルージュ様という方で、私があの時運んでいた商品の中にルージュ様の荷物もあったんです。そこで皆様の話をすると是非会って話したいと申されてですね。」


つまり、自分の物を守ってくれた人達に興味があるってことかな?

うーん、話すだけならいいんだけどね。

話すだけなら。


「そこで提案に戻るのですが、ルージュ様は皆様をここで雇いたいと仰っております。」


「雇いたい?」


「はい、皆様はお強いでしょう?ですので、ここの警備を任せたいとの事です。」


そうきたかぁ。

まあ、僕はこの人たちに関わりたくないから断る一択なんだけど.....。


「んー、俺たちは一応冒険者だからさ〜。警備とか向いてないと思うんだよね〜。それにこの二人は俺と違って旅してるらしいし、ここに長居しないからさ。ま、今回は縁がなかったってことで。」


「も、もちろん生活の保証は致します!この国で暮らせるように家もご用意いたします!」


急に必死になり始めた商人。

さっきまでニコニコしてたのに、もしかして断られると思ってなかったのかな?


「えっと、先程も言っていたように僕たちは旅をしているので、この国に住むということは今のところ考えていないです。すみませんが他の方を雇った方がいい思います。」


「そこをなんとか、お願いします!」


「ごめんなさい、無理です。」


商人は貴族の方を向き、目配せをする。


「そうですか....。少し残念ですが、これ以上無理は言えませんので、諦めます。ですが、気が変わったらいつでも言ってくださいね。いつでも歓迎しますから。」


「はい、ありがとうございます。」


話が終わり、商人たちは用があるらしく使用人が玄関まで送ってくれることになった。


「二人とも、ちょっといい?」


「ん?なに?何かあったの?」


「うん、さっき僕、トイレに行ったでしょ?その時にね......。」


僕は二人に先程のエルフの話をした。


「きっと、部屋に認識阻害魔法がかけられていたんだろう。部屋に魔法をかけてまで中を隠したいということは、そのエルフたちは奴隷か何かなのだろうな。」


奴隷かぁ。

まあ、奴隷じゃなくてもあの反応を見る限りあまりいいものではないのは確かだよね。


「どうにかしてあげられないかな...。」


まだあんなに小さいのに奴隷かもしれないなんて...。


「じゃあ俺が行ってくるよ。エルフたちが出たいって言うなら連れてくる。アメジスさん幻術魔法よろしく〜。」


そのままルベウスがエルフのいた部屋の方へ向かっていった。

僕が言い出したんだから僕が行った方がいいだろうにいいのかな...?


「そんな顔しなくても、ルベウスだって話を聞いてどうにかしたい思ったんだろう。何かあったらわかるようにあいつに魔法もかけているから大丈夫だ。」


なんかもう、二人とも凄いな。

僕は毎回思うだけなのに二人は行動できる程の実力があるんだもん。

うん、今はアメジスさんの言う通りルベウスを待とう。

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