第22話

商人に言われ、中に入っていく。

見た目通り中は広く、高そうな家具ばかりだ。

ここってもしかしなくても貴族の家だよね?

この人貴族だったの?

貴族とかいい思い出ないし、早く帰りたいなぁ。


少し歩いたところで、部屋についた。

中には使用人らしき人がいる。


「椅子に座って少し待っていてください。何かあったらあの者に声をかけてください。」


商人はそう言うと部屋を出ていった。

僕たちは使用人に聞こえないように、話し始めた。


「はぁ.....。なんか面倒なことになってるな〜。まさかお貴族様関係なんてね。」


「やはり関わらない方が良かったな。」


「裏に貴族がいるならもっと警戒したのにさ〜。」


「どっちにしろ、あの人が諦めるまで逃げるのは結構大変だったと思うし、厄介なことに巻き込まれないといいね。」


「そうだな。....まあ、既に巻き込まれてるような気もするが。」


それは言わないでほしいな、アメジスさん。

なんか緊張してきた......。


「あ、あのトイレってどこにありますか......?」


緊張のせいかトイレに行きたくなった僕は使用人に聞いてみる。


「部屋を出て左にある階段の隣にあります。案内しましょうか?」


「ありがとうございます、大丈夫です。」


僕が部屋を出ようとアメジスさんに止められる。


「一人で大丈夫か....?」


「うん、大丈夫だよ。」


アメジスさんが心配そうに僕を見つめる。

そんなに心配しなくてもちょっとトイレに行くだけなのに。


次こそ僕は部屋を出てトイレに向かう。

それにしてもやっぱり広いなぁ。

階段の隣って言ってたけど、その階段がまだ見つからない。

暫く歩いたところでやっと階段を見つけ、トイレに入る。

こんなに広いとトイレ行くのも大変なんだなぁ。


僕はトイレを終えたため、部屋に戻るため廊下に出る。


「あれ、こんな所に扉なんてあったっけ。」


先程まで壁だった筈の場所に扉がある。

こんなに広いし単純に見逃しただけかとも思ったが、何故か異様にその扉が気になる。

勝手に開けるのは良くないとわかっているけど、僕はドアノブに手を伸ばしていた。

そのままドアノブを回すと簡単に扉が開いた。

部屋の中を見るとそこには、


「......誰?」


顔のよく似た幼い二人のエルフがいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る