第21話
商人と会ってから一週間程たった。
あれからダンジョンに行ったり、依頼を受けたりして街を行き来していたが、商人の姿を見ることはなかった。
二、三日はギルドに来ていたらしいが、諦めたのかそれ以来は来ていないらしい。
今日も僕たちはダンジョンに行き、ギルドに向かっていた。
「はぁ、なんか今回空飛ぶ魔物多くなかった?俺苦手なのにさ〜。サフィニアの魔法のおかげで早めに倒せたからいいものの...。」
「僕は、強化魔法をかけただけで、あとはアメジスさんとルベウスのおかげだよ。」
アメジスさんと初めて魔法の練習をしてから実は僕は寝る前に魔法の練習に付き合ってもらっていた。
そのおかげもあって、最近は回復魔法だけじゃなくて強化魔法も使えるようになり、少しは役に立つようになってきた。
「それでもあるのと無いのとではだいぶ違うからさ〜。ほんとにサフィニアが強化魔法使えるようになってくれてよかった〜。」
「ははっ、ルベウス本当空飛ぶ魔物嫌いだね。」
「嫌いだよ〜。あ〜あ、いいな〜アメジスは遠くに攻撃する手段あって。俺加減するの苦手だから得意な炎魔法で攻撃したらダンジョン崩れるよ〜。」
「魔法の練習でもしたらいいんじゃないか?」
「いや、そうだけどぉ....。もう、そういうんじゃっ、」
そんな話を僕たちがしていると、ルベウスが突然止まった。
どうしたのか聞こうとしたところで、
「やっと見つけましたよ!」
「え?」
後ろからやってきたのは、助けた商人だった。
商人は馬車に乗っていて、僕たちの前まで来ると馬車を降りた。
「なかなか会えなくてどうしようかと思いましたが、会えてよかった!この後用事などはありませんか?用事があるのであれば、終わってからでも構いません!」
凄いぐいぐいくるな、この人。
諦めたと思ったのに諦め悪いんだなぁ。
「どうする?断る?」
僕は二人に小声で話しかける。
「んー、多分ここで断っても諦めないだろうねぇこの人。」
「あぁ、あまり関わりたくは無いが、一度行くだけでいいのであれば断らない方がいいだろう。」
うーん、あんまり気乗りはしないけど行くしかないかぁ。
まあ、もしかしたら普通の商品を入れてただけかもしれないしね。
「えっと、この後の予定はないです。」
「そうなんですね!では、この馬車に乗ってください!」
僕たちは商人に言われた通りに馬車に乗る。
「出発しますね。」
商人がそう言うと、馬車が動き出した。
「なんだかこんな形で馬車に乗りたくなかったなぁ。」
「そういえば、サフィニアは馬車に乗りたいと言っていたな。」
「え、なに?馬車乗ったことないの?」
「乗ったことはあるんだけど....。」
あれを乗ったに入れていいのかはわかんないけど。
「ふーん?よくわかんないけど、まあこれからいっぱい乗れるようになるでしょ。」
「そうだな。私と一緒に乗ろう。」
「うん!」
アメジスさんやっぱり好き.......。
僕がアメジスさんの良さを再確認していると、馬車が止まった。
馬車の扉が開き、商人が顔を出す。
「皆さんつきました。」
そう言われたので、僕たちは馬車から降りる。
そして降りた先にあったのは豪邸だった。
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