第20話
声の方へつくと、男が盗賊に襲われているところだった。
近くに馬車も見えるので、恐らく依頼の商人だろう。
商人のもとに急いで行き、アメジスさんとルベウスが盗賊を倒した。
「だ、大丈夫ですか?」
「は、はい。助けて下さりありがとうございます。あ、そのカードもしかしてギルドの方ですか?」
「そうです。商人の方が町に行ってから戻って来ないから探してほしいと依頼されて来たんです。」
「おぉ!私の捜索で来てくれた方たちだったんですね!それはありがたい!できれば門近くまで護衛をお願いしたいのです。」
「もちろん、そのつもりで来ましたから。」
「ありがとうございます!」
そして僕たちは商人を国まで送ることになった。
護衛している間僕と商人は色々と会話をしていた。
町で商品を受け取った帰り道に盗賊に襲われてしまい、あそこまで行ったはいいものの、囲まれて逃げられなくなってしまったところに僕たちが来たらしい。
あともう少し遅れてたら危なかったんだなぁ。
よかった、助けられて。
商人と会話していると僕はあることに気づいた。
二人が全く喋らないと。
アメジスさんは元々人の前では喋らないからそこまで変ではないのだが、ルベウスが喋らないのは少し違和感がある。
というか喋らないどころか、なんだか二人とも渋い顔をしている。
「二人ともどうしたの?」
僕は気になって二人に聞いてみると、ルベウスが商人に聞こえないように小声で、
「いや、この馬車何重にも魔法が掛けられてるんだよ。見えないようしてるみたいで、中身はわかんないんだけどさ。」
「幻術魔法がかけられてるってこと?それなら二人ともわかりそうだけど。」
「魔法は何重にも重ね掛けすると効果が強くなるんだ。だからこの魔法も効果が強くなる。私たちであれば見ようと思えば中の物もわかるとは思うが......。」
「思うが?」
「魔法重ねられすぎて近くにいるだけで、気持ち悪くてさ〜。中身どころの問題じゃないんだよね〜。うぅ..。きもちわるぅ。」
だからそんな顔してたんだ......。
でも、二人がこんなになるくらい魔法を重ね掛けするって一体何を隠しているんだろう?
少し..いや、かなり怪しい。
不信感を抱きつつも、門の近くまで商人を送った。
「いや〜、本当に助かりました。貴方たちがいなかったらどうなっていたことか。是非、お礼をさせてください。」
「いえいえ、僕たちはギルドの依頼を受けて来ただけなので、お礼ならギルドにお願いします。」
「いえ、そういう訳にはいきません!今回の商品は本当に大事なものだったんです!是非うちに来てもらえませんか!?」
「あ、僕たちこのあと用事があるので今回は失礼させていただきますね。」
絶対ついていっちゃいけないやつだよ、これ。
「う、用事があるなら仕方ないですね。では、また後日お礼をさせていただきます。」
そうして僕たちは何とかこの場をやり過ごし、ギルドに向かった。
あの商人に会わないように気をつけないと。
危なそうだもん。
ギルドについた僕たちは、依頼について受付嬢に話し、報酬を貰って帰ることになった。
「あ〜あ、まさかあんなやばそうなのに絡まれるなんて最悪だよ〜。しかも、また会うことになるかもしれないなんてさぁ。」
「あそこまで頑丈にしているとなると、中身は何であれ、何かしらあるだろうな。関わらない方がいいだろうな。」
「でも、絶対見つかったら向こうから来るよね...。商人さん見つけたらすぐ隠れよう....。」
「そうした方がいいだろうな。するつもりはないが、サフィニア一人では対処できないだろうからな。」
「うん......。」
まさか依頼を受けてこんなことになるなんてなぁ....。
「あ、そうだ。二人が泊まってる宿屋ってどこ?」
「え?どうして?」
「いや、わざわざ待ち合わせしたりするの面倒じゃん。だったら同じ宿屋か近くの宿屋にいた方が楽でしょ?それに、今回のこともあるしなるべくまとまって行動した方が安全でしょ?」
「まあ、そっか。」
確かに三人でいた方が安全だよね。
そして僕たちは僕たちが泊まっている宿屋に帰って行った。
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