第18話
「今回は俺が奢るから好きなだけ食べなよ〜。」
そう言われ連れてこられたのは、個室がある少し高そうなお店だった。
「ここ高そうだけど大丈夫なの...?」
「大丈夫、大丈夫!俺これでも金は持ってる方だからね〜。それにここ、そこまで高くないし。」
「そ、そうなんだ。じゃあ....。」
メニューを見てみる。
えーと、あれ?ほとんどが銀貨何枚って書いてある...?
やっぱりこのお店高いじゃん!
メニューを見て、僕が唸っていると二人が話していることに気づいた。
「わざわざ個室がある店を選んだということは何か言いたいことがあるんだろう。」
「んー。言いたいことがあるのは確かだけど、ここを選んだのは本当におすすめだからだよ?まあ、念の為ってのもあるかもだけど。」
言いたいことってなんだろう?
気になるけどそれより......。
「話は後にして、まずはご飯頼まない?俺お腹空いたからさ〜。」
「......それもそうだな。」
ルベウスが店員さんを呼び、注文をする。
それからしばらくして、料理が運び込まれた。
頼んだものが全て運ばれたところで、ルベウスが話を始めた。
「さて、早速本題に入ると俺たちパーティ組まない?」
「パーティ?」
「そ、連携とかもいい感じだったし、俺たち相性いいと思うんだよね〜。それに俺はソロじゃなくなるし、俺が前に出ればアメジスもサフィニアのこと守りやすくなるでしょ?」
まあ、確かにそうだけど..。
アメジスさんが僕を守る前提なのか.....。
僕が何も出来ないが悪いんだけどさ....。
「もちろん、ずっとパーティ組もうってことじゃないよ?この街にいる間だけでいいからさ。」
これに関しては役に立たない僕が決めることじゃないと思うんだよね。
それにアメジスさんと僕の秘密的にはあまり一緒にいるのは良くないだろうし。
この国のことをあまり知らないから、ソレイユと同じとは限らないけど完全に同じじゃないとは言えないとも言えないから、やっぱり安全のことを考えたら断るべきなのかな。
「まあ、私はいいと思う。サフィニアが守りやすいというのもあるが、ダンジョンを攻略する上で次の層への道を見つけられる存在がいるのはありがたいからな。」
確かにそうだ。
今日あんなに早くダンジョンを進められたのは、ルベウスが次の層の階段を見つけてくれていたからだ。
「そうでしょ?俺も戦いやすくなるしお互いにいい事だらけだしさ。サフィニアどう?」
「う、うーん。アメジスさんが言うならいいかな?」
本当にいいのかなぁ?
でも、ダメだったらアメジスさんが断るだろうから平気なのかな。
そんなことより、さっきから気になってたんだけどアメジスさんよく喋ってるな。
人がいる時は全然喋らないのに、さっきなんて自分からルベウスに話しかけてた。
べ、別に嫉妬してるわけじゃないけど少し気になる。
「そっか!よかった、よかった。断られたらまたソロでやらないといけないからさ〜。」
「そういえば、ルベウスってどうしてソロでやってるの?ルベウスならパーティとか組んでもやっていけそうだけど。」
「そりゃ、君たちと同じ理由だよ。当たり前でしょ?」
「へ?同じ?」
「え?」
同じ理由?同じ理由ってなんだ?
「アメジス、君もしかして言ってないの?」
「言えなんて言われてないからな。」
「だからさっきから、ムスッとした顔してたのかぁ!」
ムスッとした顔って......。
してないし、そんな顔......。
「嫉妬してるサフィニアも可愛いからな。」
「ヤキモチ妬かれたくてわざと言わなかったの?意外に性格悪いね、アメジスって。」
「よく言われる。」
「そんなこと言う人がいるなんて...!アメジスさんは性格悪くないよ!」
「あー、はいはい。それは一旦置いといてね。」
重要なことなのに......!
「それでね、俺一応獣人なんだよね。」
そういうと、ルベウスの見た目が変わる。
赤く長い髪の毛に、橙色と緑色のメッシュが所々入っていて、頭の上には猫の耳が生えている。
「本当に獣人だ!」
「そ、だからあんまり人間と組みたくないんだよね。何かの拍子にバレたら面倒だし。俺たちと同じように幻術魔法で誤魔化してる奴らもいるけど、俺あいつらと相性悪いからさ〜。」
僕たち以外にもいたんだ!
でも、幻術使わないといけないってことは、
「他種族の扱いってやっぱり悪いんですか?」
「んー、悪くはないけど良くもないみたいな?ここってソレイユから来る奴らがいるから結構影響受けてるんだよね〜。だからソレイユ程ではないけど良くはないね。特に貴族に目つけられるとめんどくさいよ。ま、それは人間も同じだけど。」
やっぱり、あんまり良くはないんだ....。
でもまあ、バレないように気をつければいっか。
「さて、これで心配事も無くなって心置きなくパーティが組めるね〜。」
僕が心配してたことは、正体がバレた時の事だ。
その心配がなくなったなら断る理由は無いよね。
「はい、これからしばらくよろしくお願いします!」
こうして、僕たちはルベウスとしばらくパーティを組むことになった。
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