第16話

朝になり、目が覚めた僕たちは早速街に出る準備を始めた。

アメジスさんと街を回るってなんだがデートみたい。

まあ、今までのも十分デートみたいなものだと思ってるけど、とにかく楽しみだなぁ。


「サフィニア、じゃあ行くか。」


「うん!」


そうして僕たちは街に向かった。


街についた僕たちは、朝食を食べていないので街に出ている露店で食べ物を買い、食べながら歩く。

うん、今僕すごいデートしてる気がする!


「サフィニア、武器屋だ。」


「あ、本当だ!行こうアメジスさん!」


「ああ。」


そして僕たち武器屋に入った。


「いらっしゃい。好きに見ていきな。」


武器屋に入ると、店主さんが迎えてくれた。

店主さんは無口なようであまり喋らない。

僕たち的にはありがたいかも。

武器屋の中には剣や槍、弓など色々な武器があった。

僕は武器を持っているアメジスさんを想像する。

やっぱり、どんな武器を持ってもアメジスさんはかっこいい!


「サフィニア?どうした。見ないのか?」


「あ、見るよ!」


アメジスさんに言われ、僕は周りをじっくりと見た。

試しに剣を持たせてもらったりしたが、重すぎて持ち上がらなかった。

どれもかっこいいんだけど、僕が使えそうな武器はやっぱりないんだなぁ。

初心者でも使えそうな武器ってないのかな。

僕がそう悩んでいると、アメジスさんは剣を見ていた。

アメジスさん、剣がつかえるんだ!

剣を使うアメジスさんかっこいいだろうなぁ。


僕もアメジスさんを見習って、使えそうな武器を探していると、扉が開いた。

どうやら他のお客さんが来たようだ。

少し気になって扉の方を向く。


「あ!」


「おっと?」


そこにいたのは、昨日アメジスさんに絡んできたルベウスだった。

僕は急いでアメジスさんの近くに行く。


「サフィニア?.....あぁ、昨日のやつか。」


「いやぁ、こんなところで会うなんて奇遇だね?また会えて嬉しいよ。」


「僕は嬉しくないですけどね。」


アメジスさんにルベウスを近づけさせないように、前に立つ。


「そんな警戒しなくても、何もしないよ。恋人持ちには手を出さないって言ったでしょ?」


「そうだけど...。」


信用できない。

最後に別れたらーとか言ってたし!


「うーん、まあいっか。それより、ゼノンさん剣直してもらってもいい?」


ルベウスがそう言うと店主さんは静かに頷き、ルベウスが持っていた剣を受け取って奥へ入っていった。


「剣、使えるんだ。」


「ん?そりゃ剣くらい誰でも使えるでしょ。」


誰でも、使える......?

じゃあ僕は一体.........。


「サフィニアは今まで使うような場面がなかっただけだ。練習すればサフィニアも使えるようになる。」


そうだよね!僕も鍛えれば使えるよね!

アメジスさんが言うんだもん、間違いない!


「え、もしかして使えなかった...?なんかごめんね?」


「そうやって謝られると、もっと惨めになるからやめてください...。」


僕が少しへこんでいると、店主さんが剣を直し終わったらしく戻ってきた。


「あ、ゼノンさんおかえりー!直してくれてありがと。」


店主さんはルベウスに直した剣を渡した。

ルベウスは剣を受け取ると、こちらに振り向いた。


「そうだ、武器探してるんでしょ?俺が合う武器探してあげよっか?」


この人に頼りたくない...!

でも、ここの武器屋について詳しいだろうし..。


「そんなに悩むこと......?待つのもあれだし勝手に探してくるね〜。」


あ、まだ返事してないのに..。

まあ、探してくれるって言ってるしお言葉に甘えよう。


「ねぇ、なんか得意な武器とかないの?剣とかはどうせ重いから持ち上がらなかったんでしょ?基本的に武器は火力をあげるために重めに作られてるからね〜。」


「うっ。」


ば、バレてる....。


「弓とかは?使ったことない?」


「ないですね...。」


「うーん、槍も多分剣と同じで重くて持てないだろうしなぁ。ていうかなんで武器なんて探してるの?君たちなら魔法でどうにかなるんじゃない?」


「そ、それはそうだけど。アメジスさんしか魔法使えないし、僕も少しは役に立ちたいから。」


そう、僕が武器屋に来たかったのはかっこいいとか憧れっていうのもあるけど、武器を使ったらもしかしてら僕ももう少し役に立てるかもと思ったからだ。

実際は使うどころか持つことも出来ないけど。


「魔法が使えない?......あ、なるほどね。まあそれなら確かに武器が欲しいところだよね〜。」


何がわかったのかわからないが、理解してくれたならよかった。


「ま、でも君には近距離の武器は向いてないし、弓も使えないならあとは魔法しかないんだけどね。」


「え、えぇ!結局解決してないじゃん!」


「諦めて魔法の練習してなよ。大丈夫どうにかなるよ!」


どうにかってなんだよもう!


「サフィニア。」


僕がルベウスに腹を立てているとアメジスさんに声をかけられた。


「アメジスさん。どうしたの?」


「武器を買い終わったから呼びかけたんだ。」


え、いつの間に!


「アメジスさんの選んだ剣見たかった..。」


「後でいくらでも見れるだろ。」


「そうだけど...。」


そうじゃないんだよ......。

まあ、僕があんな人ばっかり見てたからいけないんだけど。

もう、後でいっぱい見てやる!!


「ねぇねぇ、二人のとも後の予定は?」


「このまま街を回るか、ダンジョンに行こうかと思ってるけど...。なんで?」


「いや、暇だからついて行こうかな〜って。」


え!それは......。

アメジスさんの方をチラッと見る。


「サフィニアがいいならいいんじゃないか。私は別に構わない。」


「え、いいの?」


「あぁ。」


僕的には二人でいたかったんだけどなぁ。


「じゃ、決まり!街とダンジョンどっち行く?俺的には剣の試しもしたいしダンジョンかな〜。」


また勝手に決めて......!

まあ、特に決めてなかったしいっか。


「わかったじゃあダンジョンにしよっか。」


「じゃあ、ダンジョンに出発〜!」

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