第14話

ダンジョンに長くいたためか、帰りは周りはだいぶ暗くなっていた。


「アメジスさん、ギルドで素材を売り終わったらご飯でも食べよっか。」


「そうだな。」


何を食べようか考えていると、ギルドについた。

中に入り、受付に向かう。


「おかえりなさい、素材の売却ですか?」


「はい、そうです。」


「わかりました。では素材を見せてください。」


アメジスさんが持っていた素材を受け取って、受付嬢に渡す。

素材を受け取った受付嬢は少し驚いた顔をしていた。


「えっと、何か問題がありました?」


心配になり聞いてみると、


「あ、いえ。問題はありません。ただ、ギルドに登録したその日にこの量の素材、しかもボス素材を持ってくる人はあまりいなかったので...。」


「そうなんですね。」


なるほどね。

つまりアメジスさんは凄いってことかな!

まあ、アメジスさんはダンジョン経験者だからね。

僕一人じゃ、絶対に無理だったろうしなんなら魔物一匹も倒せなかったと思うから、本当にアメジスさんがついてきてくれてよかったと思う。


「はい、ではこちらの素材全て買取で金貨一枚と銀貨七枚です。」


「ありがとうございます。」


おお、一日でかなり稼げるんだ。

アメジスさんやっぱり凄いや。


素材の売却が終わった僕たちは、ギルドを後にした。

うーん、それしてもやっぱりギルド内だと凄い視点を感じるんだよなぁ。

僕を見ているっていうよりアメジスさんを見ているような..。


「サフィニア、今日の夕飯はどこで食べるつもりだ?」


「ご飯!そっか、どこで食べよっか。」


僕ここら辺のこと知らないしなぁ。

でも異世界の定番といったら酒場だと思うんだ僕!

酒場に行って、色んな話を聞くっていうの!

まあ、僕はまだ未成年だから行けないだろうけどね。


「まあ、私たちはここのことを知らないわけだから、そんなことを言われても困るか。なら、先程ギルドで聞こえてきた店にでも行ってみるか。」


「ギルドで聞こえてきたお店?」


「あぁ、ギルドの冒険者たちがよく行く店のようだ。もしかしたら何か情報が聞けるかもな。」


僕が考えてた酒場みたいなことができるかもなんだ!


「うん、じゃあそこに行ってみよう!場所はわかる?」


「あぁ、こっちだ。」


歩き出すアメジスさんに僕はついて行く。

少し歩くと、アメジスさんが止まった。


「ここだ。」


アメジスさんはそう言うと、そのままお店に入っていく。

僕もお店に入ると、そこそこ人がいた。


「いらっしゃいませ!何名様ですか?」


お店の雰囲気にしては珍しく若い女の子がいた。


「二人です。」


「はい!ではこちらの席にどうぞ!」


店員さんに席に案内される。

そしてメニューを渡して、店員さんは戻っていった。

なんだか、ファミレスみたいだなぁ。

そんなことを考えながら僕はメニューを見る。

僕たちは食べるものを決めて店員さんを呼び、注文する。

うーん、なんだか店員さん注文してる時ずっとアメジスさんの方見てない?

ていうか、ここでもギルドと同じで視線を感じる気がする。

少し、複雑な気持ちになりながらも注文したものを待つ。

しばらくして、店員さんが運んできてくれた。

そして僕たち、ご飯を食べ始めた。


それにしても、ご飯を食べ始めてもこんなに視線を感じるなんてなぁ。

アメジスさんは特に気にしてないし、僕の気のせいなのかな。


「サフィニア、どうした。食べないのか。」


考え事をしていて、食べる手を止めてしまっていた。


「うん、食べるよ。」


アメジスさんに心配かけちゃった。

視線が気になりながらもご飯を食べていると、突然話しかけられた。


「お兄さんこんにちは。かっこいいね?相席いい?」


アメジスさんが。

話しかけてきたのは、赤い長髪の男の人。

しかも、アメジスさん程ではないけど顔もかっこいい。

少しムッとするが、アメジスさんはその人を無視していた。


「えー無視?まあ、そういうクールなところもかっこいいね。お兄さん名前は?俺はルベウス。」


アメジスさんが無視しているにも関わらずそれでも話しかけ、それどころかアメジスさんの隣に座っている。

というか、僕すぐ側にいるのに話しかけるってなんなの?

すると、はぁとため息を吐くアメジスさん。


「相席を許可した覚えはないし、見てわかる通り連れがいる。他の席は空いているだろう、そこにでも座っていろ。」


少し冷たく言うアメジスさん。

そうだ、そうだ!僕もいるんだぞ!

なんて思っていると、


「ごめん、ごめん。弟くん?かな。少しお兄さん借りてもいい?」


お、おとうと?だって?


「僕は弟じゃない!恋人です!」


「え?そうなのお兄さん。」


「あぁ、そうだな。私とサフィニアは恋人だ。」


アメジスさんが僕を恋人って言ってくれた!

なんで少し喜んでいると、男は驚いた顔をしていた。


「え、もしかしてお兄さんそういう趣味?流石に幼児趣味はどうかと思うよ?」


「幼児でもない!確かに僕はまだ十六歳だけど!あと二年で成人だから!」


なんて失礼だ!この人!


「まあまあ、そんな怒らないで。それにしても恋人持ちかぁ。流石の俺も恋人持ちには手出せないし、今回は諦めるよ。別れたらまた言ってね。」


「別れないから!」


最後まで失礼な人だな!全く!


「だいぶ騒がしかったな。」


「騒がしいどころじゃないよ..。もう、アメジスさんがかっこいいのはいいけど、まさかナンパされるなんて....。」


もっと牽制していかないといけないのかも。

でもくっついてたりするだけじゃ、さっきみたいに弟って思われるだけかもしれない。

一体どうすれば......!


「私が好きなのはサフィニアだけだから何も悩む必要なんてない。」


「アメジスさん....!」


アメジスさんはどこまで僕を嬉しくさせたら気が済むんだ!


そんなこんなで、ハプニングがありながらも夕飯を終えた僕たちは宿屋に戻っていった。

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