第13話
「おぉ!ここがダンジョン!」
僕たちはダンジョンの中に入っていた。
「サフィニア、はしゃぐのはいいが私からあまり離れるなよ。」
「うん、わかってるよアメジスさん。」
それにしても、やっぱりダンジョンって広いんだなぁ。
僕一人じゃあすぐ迷っちゃいそう。
ダンジョンは迷路のような感じになっており、目印などをつけないとすぐに迷ってしまう。
そのために、普通の冒険者は転移の魔法陣の書かれたものを常備しているらしい。
僕たちはそんなものは持っていないけど、アメジスさんが転移の魔法を使えるらしいので必要ないとのこと。
アメジスさんに出来ないことってないんじゃないかなって思う。
そして、僕も聞いて驚いたが、ソレイユ以外の国は普通の一般人でも魔道具などが手に入る。
ソレイユでは魔法が使えるものが殆どいなくて、魔道具を作れる人もいなかったが、それはソレイユだけで他の国では普通に皆魔法が使える。
どうしてソレイユだけ魔法が使えないのかはわからないけど、魔法を使うだけじゃ特に目立たないっていうのはいいね。
「うーん、これだけ迷うんなら地図でもほしいよね。」
「ああ、だがダンジョンは日によって形が変わる。今地図作ったところで、明日には使えなくなっているだろう。」
「そっかぁ。やっぱり地道に行くしかないんだね。」
「そうなるな。」
ダンジョンは一定の時間になると変化するようになっている。
そのため、ダンジョン内にいるときに変化してしまうといくら帰る道を覚えていても帰れなくなってしまう。
そのこともあり、魔法陣はほぼ必須なのだ。
そして、ダンジョンは層なっているため、運が悪いと1層も進めないまま帰ることになる。
ちなみに、今までの最高記録は87層らしい。
それも一日ではなく、何日もかけての記録だとか。
そこまでダンジョンにかけられるってすごいかっこいいと思う。
「そういえば、アメジスさんはここ以外のダンジョンに入ったことあるんだよね?どんな感じだった?」
「殆どはここのダンジョンと変わりないが、規模はこちらの方が大きいな。後少しこちらの方が魔物が強いような気がする。」
「やっぱり場所によって違いってあるんだね。」
魔物はアメジスさんが瞬殺しちゃうからあまり強さがわからないけど、そういうの違いがあるんだなぁ。
「サフィニア、奥に階段が見える。次の層への入口のようだ。」
「やった!やっと見つかったね!」
「ああ、じゃあ降りていくか。」
「うん!」
次の層に降りていくと、先程より魔物が多い。
巨大な蛇のような見た目をした敵と戦っているアメジスさん。
少し防御が硬いらしく、何発か魔法を当て倒していた。
「アメジスさん大丈夫?」
「問題ない。だが、ここの層の魔物は魔法耐性があるのか少し硬いな。」
魔法耐性かぁ。
今の僕たちは武器なんて持ってないからなぁ。
次来るときは、なにか武器も持ってきた方がいいよね。
ほんの少しだけ、苦戦しつつも途中で僕がアメジスさんが言っていた相性の話を思い出してから僕がずっとくっついていたからか、かなり早く10層まで降りられた。
でもこれだと、魔法の威力とかが上がるのはいいけど、アメジスさんが動きにくくなっちゃうのが難点なんだよね。
「あれ?これって扉?」
10層を進んでいると、大きな扉を見つけた。
「これはボス部屋だな。10層毎に設置されている。ここをクリアすることで、次の層に行けるようになる。」
なるほど、つまり次の層に行きたいんだったらボスを倒さないと行けないのか。
でもボスって言うくらいだしきっと強いんだろうな。
「さて、行くこうかサフィニア。」
「あ、うん!」
なんの躊躇もなくアメジスさん扉を開ける。
やっぱり慣れてる人は違うなぁ。
中にいたのは、獅子に翼が生えたような見た目のボスだった。
今まで見た魔物の中で一番大きい。
「アメジスさん大丈夫?倒せる?」
僕は心配になり、アメジスさんに少し触れながら聞く。
「これくらいであれば問題ない。」
そう言い、アメジスさんは攻撃を始めた。
アメジスさんは詠唱など無しにどんどん魔法を発動させていく。
風魔法と炎魔法を合わせて炎を纏った竜巻を作り出して攻撃したり、攻撃を受けそうになったら氷魔法で凍らせて動けなくしたりしていた。
色々な魔法が使えるのは凄いけど、特に凄いのはアメジスさんのコントロールの良さだと思う。
アメジスさんが使った魔法はボスが大きいというのもあるが、殆どがボスに当たっている。
それに、ボスが飛ばしてきた魔法を自身の魔法で相殺していたりしていた。
そんなことで、ボスがだいぶ弱ってきたところでアメジスさんがトドメの魔法を当て、ボスを倒した。
「凄い!アメジスさん!倒しちゃったよ!」
「言っただろう。これくらいなら問題ないと。」
「うん、でも凄いよ!」
まさかボスをこんなに早く倒せちゃうなんて。
流石アメジスさん!かっこいい!
「さて、サフィニア。この後はどうする?このまま次の層に行くか、今日はここまでにするか。」
「そうだなぁ。ボスも倒せたし、そんなに急いで行くこともないから、今日とのころは帰ろっか。」
「ああ、わかった。」
そうしてアメジスさんが転移の魔法を使い、ダンジョンの入口の前まで戻ってきた。
そして僕たちはそのまま素材を売るために、ギルドに帰ることにした。
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