第12話
僕たちは、幻術魔法で姿を少し変えてから、王国の門の前に向かった。
門の前には門番が二人いた。
止められたり入れなかったりしないよね....。
アメジスさんは特に気にすることなく、門を通っていく。
僕もそれに慌ててついて行った。
思っていたよりすんなり国の中に入れた。
「サフィニア、国についたがまずはどうする。村で金を貰ったから宿屋に泊まれるぞ。先に宿屋に向かうか?それとも目的のギルドに向かうか?」
「うーん、そうだなぁ。後々泊まる場所がないなんてことになったら大変だし、先に宿屋に行こう。」
「あぁ、わかった。」
僕たちは街の人に宿屋への道を聞いたりして、宿屋についた。
「いらっしゃい!」
宿屋に入ると、店主さんが明るく迎えてくれた。
「お客さんたち、あまり見ない顔だね。もしかして旅の人かい?」
「はい、そうです。」
「そうかい、そうかい!じゃあリュンヌには何日くらいいる予定なんだい?」
何日かぁ。
特に決めてなかったな。
「特にいつ出るってのはまだ決めてないです。」
「なるほどねぇ。じゃあとりあえず今は一週間分の料金にしておくよ。延期する時はまた言っておくれ。」
「はい、わかりました。」
ちなみに、この国の通貨は銅貨、銀貨、金貨の三枚あり、銅貨は一枚千円、銀貨は一万、金貨は十万くらいの価値になっている。
「じゃあ、一週間だから銅貨七枚だね。」
「え?看板には一人一泊、銅貨一枚って書いてましたよね?それじゃあ足りませんよ?」
「初めて来たお客さんだからね。特別に割り引いておくよ。」
「あ、ありがとうございます!」
「二人部屋と一人部屋あるがけどどっちがいい?」
「二人部屋でお願いします。アメジスさんもそれでいいよね?」
「ああ。」
「わかったよ。じゃあこれ部屋の鍵ね。」
店主さんから鍵を受け取り、部屋に向かう。
部屋の中を確認して、少し休憩した後に店主にギルドの場所を聞き、ギルドに向かうことになった。
それにしても、アメジスさんはやっぱり人がいるところでは必要な時以外喋る気はないんだね。
ギルドについた僕達は、扉を開け中に入る。
中には、ガタイがいい人が多く、やっぱり戦い慣れてる人が多いんだなと思った。
なんだか、チラチラ見られている気がする。
周りを気にしつつ、僕たちは受付に向かう。
「こんにちは、初めての方ですよね?ギルドの登録はしてありますか?」
「まだしていないです。」
「わかりました。では、こちらに手をかざしていただけますか?」
そこにあったのは水晶のようなものだった。
「この水晶に手をかざすことでお二人の情報を読み取り、ギルドに保管されます。あとはギルドカードを受け取れば、登録は完了です。」
なるほど、結構簡単なんだな。
でも情報を読み取るのか....。
僕が少し迷っていると、アメジスさんが水晶に手をかざしていた。
え、大丈夫なのアメジスさん。
少し戸惑いながらも、アメジスさんに続き僕も水晶に手をかざした。
「はい、ありがとうございます。これがギルドカードですどうぞお受け取りください。」
受付嬢にギルドカードを貰い、カードを見てみる。
カードと言っても首にかけられるようになっていて、どちらかと言うと首飾りのようだ。
「ギルドカードは色でランクがわかるようになっていて、下から順に白、緑、青、紫、赤、黄、黒となっています。ランクを上げる事で、ギルドで難易度の高い依頼を受けられるようになります。ランクは依頼を受けるか、ダンジョンなどで強い魔物を倒す、もしくはより多くの魔物を倒し、素材を持ってくる帰ってくることで上がります。」
なるほど。
僕は自分のカードを見ると、色は白色であった。
まあ、登録したばっかりだし仕方ないか。
「ギルドについての説明は以上です。依頼については奥に貼りだされておりますので、そちらをご確認ください。」
「はい、ありがとうございます。」
それにしても、ギルドってやっぱり異世界っぽいなぁ。
僕も男だしギルドとか憧れだよね!
とりあえず、依頼が気になるし見に行ってみようかな。
「アメジスさん、少し依頼に行ってみよう。」
「そうだな。」
依頼が貼りだされているところに行く。
「どうしよっか、アメジスさん。なにか受けていく?」
「それよりさっさとダンジョンに向かって魔物を倒した方が早いんじゃないか?」
まあ、あまりいい依頼もないし、受けるだけ無駄か。
「そうだね。じゃあダンジョンの方に行ってみよっか。」
「ああ。」
ダンジョン楽しみだなぁ。
魔物とか沢山出るのかな。
魔物が出る......?
あれ?これ僕って足でまといになるんじゃない?
ゴブリンに襲われてるラウルさんを助けに行く時も、全部倒してくれたのはアメジスさんだし。
僕、アメジスさんに魔法は使えないって言われたばっかだし、何か武器が使えるわけでもない。
ど、どうしよう........!
「サフィニア?どうしたんだ。そんなに慌てたような顔をして。」
「あ、あのね。アメジスさんやっぱりダンジョン行くのやめない....?」
「急にどうしたんだ。何か問題でもあったか?」
「いや、問題っていうか。まあ問題なんだけど。その、僕戦えないでしょ?だから、アメジスさんの足でまといになっちゃう。」
「なんだ。そんなことか。」
「そんなことって!全然そんなことじゃないよ!」
「そんなことだろう。前に言っただろう。私とサフィニアは相性がいいと。サフィニアは戦っている間私に触れていてくれればそれだけで役に立つ。」
「た、確かに触っていれば癒されるって言ってたけど..。」
「やろうと思えば、私と繋がることでサフィニアも魔法を使えるようになるだろうが、サフィニアは魔法を使ったのは一度だけだ。練習してからじゃないと難しいだろうな。だが、私たちに手持ち金はほぼないんだ。ダンジョンに行くなら早い方がいいだろう。」
「うぅ、その通りだけど....。」
「それに私はサフィニアにはあまり戦ってほしくない。サフィニアが怪我をしたら私は自分を許せなくなるからな。だから大人しく私に守られていてくれ。」
「わ、わかった。でも!魔法の練習はさせてほしいな。」
「もちろん。」
少し不安だが、こうするしかない。
今後僕が強くなれば問題ないしね。
「よし!じゃあ行こっか!アメジスさん!」
「ああ。」
少しやけくそになりながらも、ダンジョンに向かうことになった。
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