第10話

朝になり、僕は目が覚めた。

アメジスさんはまだ眠っていた。

僕はアメジスさんの寝顔を堪能して、起き上がろうとしたらアメジスさんに戻されてしまった。


「んん‎........。」


アメジスさんは寝ぼけているようだ。

寝ぼけてる アメジスさん可愛いなぁ。

でも起きれないのは困った。

まあ、特に何かある訳でもないしこのままでもいっか。

僕はそのまま二度寝を始めた。


その後僕たちは、ラウルさんに呼ばれ起きた。

どうやら奥さんが朝食を用意してくれたようだ。


「お二人ともおはようございます。よく眠れた?」


「はい!おかげさまで!」


「そう、ならよかった。さてお二人座って、朝御飯食べちゃいましょう。」


僕たちは朝食を食べ始める。


「そうだ、お前たちもう今後の予定は決まったか?」


「あ、はい。今日中に出発しようかなって思ってます。」


「今日中かぁ!もうちょいゆっくりしていってもいいんだぞ?」


「それはありがたいんですけど、やっぱり僕たち早く次に進んでみたいので。」


「そうかぁ。それなら仕方ないな。」


「あ、じゃあせめてお昼まではいてくれると嬉しいわ。」


「それくらいであれば。」


「ありがとう。」


朝御飯を食べ終わり、僕は少しの間村でも回ろうかと思い、アメジスさんに言うとついてくると言うので一緒に回ることにした。


「やっぱり、王国と違って少し狭いね。でもこっちもいい雰囲気だなぁ。」


王国も黒髪だとバレる前は明るい雰囲気で、見てるだけでも楽しかったくらいだった。

だからバレた後のあの反応はすごく異常に見えた。


「そういえば、アメジスさんは元々はソレイユと外にいたんだよね?どんなことしてたの?」


「..そうだな、まあ旅のようなものをしていた。」


「旅!じゃあアメジスさんにとって僕との旅は二回目か。」


「旅といっても、各地のダンジョンを回ったりする程度で、そこまで詳しい訳ではない。」


「そうなんだ、それならよかった。」


僕はなるべく二人で初めてのことを体験したいタイプだから、まだありそうで。

アメジスさんと会話をしながら、村を回っていく。

村はあまり広いところじゃなかったのですぐに回り終わった。

宿屋に戻ると、ラウルさんと奥さんが待っていた。


「お二人ともおかえりなさい。そろそろ出発する頃でしょう?これを持っていって。」


そこには食料やポーション、お金が少し入っていた。


「本当は別のものを考えていたのだけれど、旅をするのだから、それに役立つものがと主人に言われたの。受け取ってくれる?」


「それはもちろんです!ありがとうございます!」


「喜んでもらえてよかったわ。」


「本当はこれだけじゃあまだまだ足りたいくらいだ。だからまた来いよ!いつでも歓迎する。」


「はい!」


そして僕は、ラウルさんたちにお礼を言い、宿屋を出る。

アメジスさんもお辞儀をして、僕についてきた。


「じゃあアメジスさん、このままリュンヌに向かおうか。」


「そうだな。」


「待って!」


リュンヌに向かって、歩き出そうとする僕たちに後ろから声がかかった。

そこに居たのは、ラウルさんの娘さんだった。

僕は思わず驚く。

だって、晩御飯の時も朝御飯の時も会話に加わらず、淡々とご飯を食べ続けていたから、てっきりあまり歓迎されていないと思っていたから。

もちろん、子どもだからあの手の会話に入れなかったというのもあるかもしれないが。

とにかく、宿屋にいた時に話しかけられたことがなかったのでびっくりした。


「待って、あのね。」


「うん、どうしたの。」


「わ、私ね。緊張してあまり喋れなかったの。そ、それでね。」


少女は今も緊張しているようで、なかなか言葉が出てこないようだった。


「大丈夫、ゆっくりでいいよ。」


「う、うん。それでね。私、二人にありがとうって言いたくて。あのままだったらお父さん死んじゃってたかもしれないし、薬草がないとお母さんも死んじゃう。だから助けてくれてありがとう。」


そう言いながら、何かを差し出してきた。


「あまりいいものじゃないかもしれないけど、私お守り作ったの。受け取って。」


「うん、嬉しいよ。ありがとう。」


その言葉に少女は笑顔になり、またお礼を言ってから立ち去った。


「そのお守り少し面白いな。」


「え?どうして?」


「魔法陣がついている訳では無いないのに、少し魔法がかかっている。小さな怪我をしなくなる程度だが。もしかしたら中に入っているものに何かあるのかもな。」


そんなものだったんだ。

彼女なりに僕たちのことを考えてくれてたんだな。

お守りを見て、もう一度少女に感謝をした。


「よし!それじゃあアメジスさん行こっか!」


「あぁ、出発しよう。」


そして僕たちはリュンヌ王国に向かって行った。

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