第9話
ラウルさんに呼ばれたため僕たちは一階に行く。
テーブルにはご飯並んでいる。
「すごい豪華ですね!美味しそう..。」
「いつもはこんなに豪華じゃないんだけどなぁ。」
「もうそんなこと言ってないで、ティナを見習って早く座って。お二人もどうぞ座って。」
奥さんに言われ、椅子に座る。
そしてみんながいただきますと言って食べ始める。
あ、美味しい。
「先程主人に話を聞きました。お二人とも、この度は主人を助けていただいてありがとうございます。」
「えっと、僕は特に何もしてないですけど、ラウルさんが無事でよかったです。」
「本当はお礼の品でも渡したかったのだけれど、今は渡せそうなものがないの、また後日お礼をさせてね。」
アメジスさんをちらりと見て、反応を見る。
何故か僕をじっと見ていたアメジスさんと目が合った。
アメジスさん、嫌いだからって僕のことしか見ないのは嬉しいけど、どうかと思うよ。
そんなところも好きだけど。
とりあえず、受け取らないと失礼だよね。
「はい、ありがとうございます。でもあまり無理しないでくださいね。」
「ええ!気に入って貰えるものを用意させていいただくわね。」
そんな話を奥さんとしていると、ラウルさんがアメジスさんに話しかけていた。
「なぁ、あんたたち旅するんだろ?この後はどこに行く予定なんだ?」
「....特には決めていないが、サフィニア。」
「うーん、何も考えてなかったなぁ。僕ここら辺のこと何も知らないし。でもお金が稼げそうなところがいいな。僕、お金持ってないから。」
「旅するのに金持って出てこないなんて、そんなヤツいるんだなぁ。まあ、でもそういうことなら、ここから近いリュンヌ王国に行くといいと思うぞ。」
「そうね。あそこなら、ギルドもあるし、聞いた限りのアメジスさんの強さなら王国近くのダンジョンでも、活動していけると思うわ。」
ギルドにダンジョンかぁ。
今までもそうだけどこの二つだけで一気に異世界って感じがするなぁ。
「じゃあそこを目指すのがいいかも。」
あ、でもアメジスさんのことを考えるならあんまり人が多いところはよくないかも。
そう思っていると、頭をポンとされた。
アメジスさんの方を見る。
「サフィニア、私のことは考えなくていい。」
でも....とは思ったけど、アメジスさんが優しく笑ってくれて、それに甘えてしまった。
「お、その感じはリュンヌに行くんだな。」
「はい、そうするつもりです。」
「あ、確かそれなら一週間後に確かリュンヌに向かう馬車が出るわよね?」
「ああ、そういえばそうだな。お前たちもそれに乗っていけばいいんじゃないか?馬車代に関してはこっちでどうにかしてやれるしな。命を救ってもらってるし、これくらいはやらせてくれ。」
なるほど、それはありがたい。
けど、馬車っていうと人がいるだろうしなぁ。
馬車には乗ってみたいけどそれはいつかにしよう。
きっと言ったらアメジスさんはいいって言ってくれるだろうけど、アメジスさんばっかに負担かけたくない。
それに二人きりでいられるしね。
「とってもありがたいんですけど、遠慮させてもらいます。二人で歩いていくのも旅の醍醐味だと思いますし。」
「なるほどなぁ。つまり二人きりがいいってことか。」
「そ、それは違くは無いですけど....。」
「ふふっ、お二人とも仲がいいわね。」
な、なんだか恥ずかしい...。
照れ隠しのためにご飯をかき込む。
そういえば、アメジスさん全然ご飯食べてないな。
まあ、いくら良くしてくれるからって嫌いな人の作ったものを食べるのってなんかやだもんね。
何入ってるか、わかんないし。
でも、ご飯を抜くのは体に良くないし....そうだ!
「アメジスさん、あーん。」
僕は先程食べていたものを、アメジスさんに差し出す。
アメジスさんはびっくりした顔をしたあと、少し考えてから食べてくれた。
こういうの付き合ってるって感じする。
嬉しくなって何回もやっていると、視線に気づいた。
少し恥ずかしいが、せっかくアメジスさんとご飯を共にできるんだから、存分にイチャイチャするんだ!
そして僕たちは食べ終わるまで、それを続けた。
ご飯を食べ終わり、部屋に戻る。
「アメジスさん、僕色々勝手に決めちゃったけど大丈夫?」
「あぁ、サフィニアのやりたい事の為に旅に出ているんだ。サフィニアの好きにすればいい。私のことは気にするな。」
「気にするなって言われても気にしちゃうよ。僕はアメジスさんと幸せになるためにしてるんだから、本人が嫌がることをやるのは本末転倒ってやつだよ。」
「私はサフィニアの傍に居られればそれだけでいい。」
「それは僕もそうだけど..!とにかく僕は僕の好きにするためにアメジスさんのことも考えるよ!」
「サフィニアは頑固だな。」
頑固なのはどっちだよ、もう!
でも僕のことを考えてくれてのことだし、嬉しいのは間違いない。
「サフィニア、リュンヌにはいつ向かう。」
「えっと、どうしようかな。すぐに行くんだったら明日とかがいいだろうけど。」
「じゃあ、明日出発するか。早く二人きりになりたいしな。」
こ、これはさっきのことでからかわれてるのか!?
「もう、アメジスさんのばか。からかわないでよね!」
「ははっ、悪い。まあ嘘ではないぞ。」
「....アメジスさんってちょっと意地悪だよね。」
「そうか?まあそうかもな。」
そういうところも大好きだよ!もう!
「さて、明日の予定も決まったことだ。そろそろ寝ようか。」
「うん、そうだね。」
そのまま僕とアメジスさんはベッドに行った。
「じゃあ、アメジスさんおやすみなさい。」
「あぁ、おやすみ。サフィニア。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます