第7話

「すごい、綺麗....!」


結界を抜けると草原が広がっていた。

川なども流れており、自然豊かだ。

それに森の中は日が通らなく、薄暗かったためより綺麗に見える。

こんなところで立ち止まってる場合じゃないか。

さて最初はどの方向に向かおう。


「ねえ、アメジスさん最初はどこに向かった方がいいかな。」


「ふむ、そうだな。確か私の記憶が正しければ向こうの方に村があったはずだ。」


「そうなんだ!じゃあ最初はそこに向かおう!」


「じゃあまた私が抱いていこうか。」


「ううん。今回はゆっくり行こう。僕なんだかんだいってアメジスさんとこうやって外で一緒に歩くの初めてだからもう少し二人で歩きたいなって。」


「そうか..。そうだな。じゃあ村まで歩いていこうか。」


僕はアメジスさんと一緒に歩いて村に向かう。

二人きりでウキウキで歩く。


「嬉しそうだな、サフィニア。」


「うん!アメジスさんとこれからずっと一緒にいられると思うと嬉しくて!」


「フッ、サフィニアは相変わらずかわいいな。」


「アメジスさんだっていつもかっこいいよ!」


そんな会話をしつつ歩いていると、


「あれ?あそこなにかある?」


遠くすぎてあまり見えない。


「そうだな。どうやらゴブリンに襲われている人間がいるようだ、サフィニアどうする。」


アメジスさんあんな遠いところまで見えるんだ!

それにしてもゴブリンに襲われてる人かぁ。うーん。


「もう少し二人でいたかったけど...。見捨てるのもあれだし、助けに行きたいな。」


「サフィニアがそういうなら助けに行こうか。でもその前に。」


アメジスさんは幻術魔法を使ったようで、角が無くなっている。

もしかして僕にもかけられているのかな?

アメジスさんに抱き上げられそのまま向かっていく。

そして段々と見えるようになった。

アメジスさんが言っていたように一人の男が沢山のゴブリンに囲まれていた。


「くそ!こいつら数が多すぎる!」


ゴブリンが


「うああああ!!!」


ゴブリンにあと少しで襲われるというところで、アメジスさんがゴブリンの全身を凍らせて動きを止める。

そのまま周りのゴブリンも凍らせ、そして一斉に砕ける。

男は突然のことで固まってしまっているようだ。

でもそんなことより..。


「アメジスさんすごい!一瞬で全員倒しちゃった!」


やっぱりアメジスさんは強いしかっこいい!!

アメジスさんと一緒にいるとかっこいいがずっと更新し続けているなぁ。


「ありがとう、助かった。」


やっと状況が掴めたのか、お礼を言われた。


「いや、礼には及ばない。」


「いやぁ、それにしても兄ちゃん強いなぁ。そうだ、近くに俺の住んでる村があるんだ。是非お礼をさせてくれないか。先を急いでいるなら無理にとは言わないが。」


近くの村?もしかして僕たちが向かってるところかな。

アメジスさんをチラッと見ると、アメジスさんもこちらを見ていたようで目が合った。

アメジスさんは僕の考えを察してくれたようで頷いた。


「では、お言葉に甘えさせていただこう。」


「そうか!そりゃよかった!じゃあついてきてくれ!あぁ、そういえばまだ名乗ってなかったよな。俺はラウル。お前たちは?」


「僕はサフィニアです。こっちの人はアメジスさん。」


「サフィニアとアメジスか!お前さんたちはどうしてこんなところにいたんだ?」


「僕たち旅をしたくて出てきたんです。なので、まず近くの村に行こうと思っていたところを偶然見つけたんです。」


「なるほどなぁ。つまり目的地は俺の村だったってことか。それはちょうどよかったな。」


その後も街につくまで、ラウルさんと話した。

ラウルさんは薬草を取りに、村を出てその帰り道にゴブリンに襲われたらしい。

家族に飲ませるためのものだったらしいから、無事でよかった。


「そろそろ村につくぜ。」


国を出たのが遅い時間だったためか、周りが暗くなってきていた。

村につき、ラウルさんの家に向かう。


「そうだ、うち宿屋やってるんだ。だいぶ暗くなってきてるし、うちに泊まっていかないか。もちろん金はとらない。」


「わぁ!いいんですか!ありがとうございます!やったね、アメジスさん!」


そういえば、そこら辺のことを全然考えていなかったからとてもありがたい。


「そうだな、サフィニア。」


アメジスさんが僕に向かって笑う。

そういえばアメジスさん元々口数が多い方では無いけど、ラウルさんと会ってからもっと減った気がする。

......気のせいかな?


「さて、ついたぞ。」


そんなモヤモヤを抱えながらも、僕たちはラウルさんの家にお邪魔した。

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