第14話


 よくスラングとして用いられるけど、

 白兎に目がないの。

 うさぎが持ってる時計の秒針より

 はやく!はやく!はやく!


 脈打つ鼓動がうるさく本物だって訴えてる。

 気づいたら見失わないように目で追い、

 足が宙を蹴り上げ走っている。


 まるでDNAに刻まれてるような、デジャヴのような、どこに向かうのか、何が起こるのか、何をするのかも分からない。

 

 確実なことは、自分のコンフォートゾーンを抜けて理解も予測もつかない所に向かうの。

 つまらないと言う言葉が1番似合わない所にトリップできるの。


 生物として生まれてきたんだから、

進化して生き延び続けるか、絶滅して消えるか

どっちかだろうけど、そんなのどうだっていい。

 夢中で追ってたらお土産がたくさん増えたわ。


 例えば、体験した感情を瓶に詰めてラベルを貼っていつでも取り出せるようにしておくの。

 そして日常のスパイスとして加えるの。

 アクセントにもなるし、コクにもなるし味に奥行きを与えてくれる。

 私好みの味に。


 世界はお裾分けでできてる。

 白兎を追った人がその結果、お土産を持って帰ってきてくれる。

 みんなその恩恵の中にいる。


 ネイティブアメリカンは、

 地球を祖先から脈々と受け継いだ遺産と捉えずに、子孫からの借り物だとする教えがあるようだ。

 7代先を考えているらしい。

 

 面白い。

 一般的に過去・現在・未来はこの形で並んでるという捉え方をされてる。

 そしていつも視点は現在に置かれがち。

 当たり前のような顔をして常識という椅子にふんぞり返ってる時間の概念もびっくり。


 そのこころは立派な地球守り隊。

 きっと愛してるからこそできる行動なんだろうな。

 まるでナイトのような。


 



 そんなことを考えながら、私のバスタイムはゆっくり流れる。

 今日は冬至だから柚子湯に浸かる。

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