第12話
朝はニガテ、昼は可もなく不可もなく。
夕方はぼやける、夜は楽。
朝、目的地に向かう途中踵を返す。
流れる時間、電車、風景と待ち合わせをして
知らないカフェ、実家、神社、海に紛れ込む。
〝今、ここ〟を実感したくて、
満足した次の瞬間、私がスキップした標本のように美しく止まった日常に合流する。
たまにやっちゃう癖。
いかようにも選択できる日常の連鎖で、
1年前のもっと短く1ヶ月前の自分が想像してないような人生になってる。
でも、それもいいよね。
それがいいよね。
ぼやけた夕方の壁掛け時計の針が逆走しだして、その歪み・渦の中から彼が現れた。
黄昏時は世界の輪郭もぼやけるらしい。
チクタクチクタクチクタクチクタクチクタク
奇跡予報のお時間です。
今日は突発的な奇跡に見舞われるでしょう。
チクタクチクタクチクタクチクタクチクタク
「はぁ、とうとう見えちゃったわけ?
私これ以上浮世離れするの?」
《君はもともと逢魔が時生まれだ。》
「そっか、じゃあいっか。」
《すんなり装備を解いてくれちゃって、
脱がせるのは俺の仕事なのに、、、
メインは残しといてくれよ?》
「あなたに出会ってから心が軽いの
それに昔からあなた居たじゃない?
思い出したの。」
《それはちょっと違うな。》
「え?」
《過去、現在、未来は同じなんだ。》
「どういうこと?
最初は忘れてたけど私達
初めましてより前に先に会ってるでしょ?」
《人の記憶はあえて曖昧にできてる。
鉛筆で紙に書き込んでも消しゴムで消していくらでも書きかえられるだろ?
そんなようなものなんだ。
記憶という空間に裁量があるから。》
「じゃあ私が書きかえてるってこと?
厳密にいうと、私自身であるあなたが?」
《人と話してて話が噛み合わない時があるだろ?
〝私は確実に覚えてるのに!〟って
逆に覚えてないこと、思い出せないことも。それは別にたまたまとか偶然とかじゃない。
どちらが記憶違いしているとかじゃなくて、それぞれの記憶は正しいんだよ。》
「じゃあ私が初めて出会ったときと、今とのあなたに対する感情の急激な変化も意味があるの?」
《今は確かにあるし、
むしろなにも意味がないとも言える。》
「それも裁量ってことね?
誰に意味をつけてもいいし、
逆に意味をつけなくてもいい。
意味をつけたくないものは事象を紐付けしなくても。
そんなのって、楽しいじゃない!」
《それでこそ君だ。》
「なーんだ、元から矛盾だらけなのね。」
《だから一定で生きなくてもいいんだ
「ありがとう。」
《君が虎のように見える時もあるし、次の瞬間女神様になる。
七変化どころじゃなく化けるから、前世では知れば知るほど君がわからなかった。
君が踊るように生きているから、その燃えるような信念があるからこんなに惹かれるのか?》
「それがどうかしたの?」
《君には確固たる信念がある。
すべてその削ぎ落とされて、厳選されたものから来ている。
だから本物の核以外はこだわりがない、それは側から見てると矛盾しているように見える。
どれが本物の君か分からないから。》
「どれも本当だよ。
人は見たいようにフィルターを通して見るでしょ?全部正解!」
《だからずっと君の虜なんだ。
自分を大きく見せることもしないし、
卑下することもしない。
等身大の君が宇宙の最高傑作なんだ。》
「天上天下唯我独尊。
生まれたての、なにもできない状態で既に私もあなたもみんな平等に尊い存在。」
《それを君は腑に落として実践してる。
知ってるのと、理解してるのは違う。
君は後者でそれを心から信じてる。》
「私が私として表現して発したものは、もうその瞬間から私を離れてるじゃない?
だからそれはもう受け取りてのものでもあるの。だからどう思われようと自由でいいんじゃない?って思ってるもん。」
《じゃあさっきから気になってることに話を戻すよ。
君はさっき俺はの感情の急激な変化が
あったて言ったよね?》
「そうだっけ?」
《覚えてるんだろ?教えて!》
「えー。まだ秘密♡」
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