第8話

「すごく心地良い、心まで抱かれてるみたい。私死んだの?」


《おかえり、束の間の死だよ。》


「あなたは誰?」


《俺は君だよ。》


「おかしなこと言わないで、これは私の夢?」


《君たちはそう呼ぶね。》


「あー、そうなのね。

私の質問にちゃんと答えて、あなたは誰?」


《君の半分》


「じゃあ私のことどれくらい知ってるの?」


《君が生まれてから今に至るまでの全部。》


「《嘘言わないで、私の事を本当に分かってるのは私だけよ》」


《そんな顔しないでくれよ。言っただろ?本当に分かるんだ》


《君が生まれてきてから体験した事全部をなんなら君より鮮明に覚えてる。感情的な体験も身体的な体験も。》


「待って、理解ができない。私が今体験してる事はなに?」


《神の気まぐれ》


「馬鹿なこと言わないで、こんなのありえない。」


《君は本当に美しい。やっと会えた、やっと気づいてくれた。》


「全然話が見えないんだけど。何言ってるの?」


《人間として生まれる時に対で生まれてくるんだそれでボディに入る。三位一体。》


「続けて。」


《大抵の人はそれに気づかないな。

自分というものと性というものの固定概念が強くて、それを当たり前だと思ってる。

そして気づかないまま苦しむ。

君もそうだっただろ?》


「じゃあなんで私の対はあなたなの?」


《約束したから》


「私はそんなの覚えてない。」


《君は本当にかわいいね。》


「はぐらかさないで。」


《大丈夫。徐々に思い出すから。

もう我慢できない、まずはハグさせてくれ。》


「え、、、。」


《愛してる。嘘偽りなく君だけを。

君は俺のミューズなんだ。》


「やめて。離してっ。」


《君は怒ってるんじゃない、傷ついてるんだ。

だから泣かないで。これからは俺がいる。》



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